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2010年04月25日

パコと魔法の絵本

お前が私を知っているってだけで、腹が立つ!
パコと魔法の絵本 特別版(2枚組) [DVD]
2008年(PACO and The Magical Book)製作国:日本
監督:中島哲也原作:後藤ひろひと
製作:「パコと魔法の絵本」製作委員会製作総指揮:
脚本:中島哲也、門間宣裕撮影:阿藤正一、尾澤篤史
音楽:ガブリエル・ロベルト、主題歌:木村カエラ「memories(original version)」amazon.co.jpで詳細を見る。

ストーリー

音楽流れる大きな屋敷に、一人の男が姿を現しました。その男は屋敷の持ち主に「大貫」が持っていた飛び出す絵本「ガマ王子とザリガニ魔人」にまつわる物語を、好むと好まざるとに関わらず語るのでした。

少し昔のこと、とある病院でその物語は始まりました。
その病院は一癖も二癖もある患者たちが入院していました。中でも株式会社ルワールを一人でたたき上げたワンマン社長であり会長になった大貫(役所広司)は、偏屈でみんなに「クソジジイ」と呼ばれていました。彼は人を信用することもなく弱いものは必要ないという性格の元、自分のことを知っているというだけで嫌い、怒りながらみんなに接しているのです。
そんなある日、大貫は入院患者の一人で絵本を読む少女パコ(アヤカ・ウィルソン)と出会います。彼女は大貫を恐れるようなこともなく彼に接しますが、大貫は絵本を使い「強いものだけが生き残る」というストーリーを作りパコに聞かせてやります。しかし彼女の「ありがとう」に驚く大貫。それも束の間、失ったライターを探している大貫にパコがそれを…パコが盗った思った大貫は怒りで彼女を殴りつけてしまいました。

そして次の日、何の変わりもなく大貫に接してくるパコ。
そう、彼女は7歳の誕生日に事故で両親を亡くし、自分は奇跡的に助かったものの記憶傷害を持っていたのです。パコの記憶は一日しかもたず、彼女にとっては毎日が誕生日の朝だったのです。しかし、大貫がパコの傷ついた頬を触ったとき、彼女は大貫が触ったことを覚えていました。
今まで自分を自分を知っていたことに怒りを覚えていた大貫は、初めて自分のことを忘れないでいて欲しいと思いました。それ以来、彼はパコと絵本を読む日々を送るようになりました。
そして…サマークリスマスが近づいてきたとき、大貫はパコにあるサプライズを考え、患者たちに提案をするのでしたが…。

映画レビュー

ちょっとオススメ第9回「ブログ DE ロードショー」の推薦作品です。
選ばれたのは「茶栗鼠の映画評論」の「茶栗鼠」さんです。

この作品は劇場で上映されていたときから観たかった作品だったので、いい機会を得て今回鑑賞してみました。
単純に絵本の中に入ってくファンタジー系かなって想像していたのですが、とはいえ、そういうシーンもありましたが、どちらかというとシーン、シーンにあわせた想像力を働かせた世界が広がっているという感じで、「テラビシアにかける橋」に近いイメージを受けました。
ただ「パコ…」は普段からかなり特異な世界観を持った世界で、普通の現実世界とはちょっぴりだけ「いっちゃってる」世界です。(^^; この世界観のために、万人受けされるとは思えないところが唯一の残念なところですが、もしそう感じても大貫とパコと出会うところまでは観ましょう。おそらく彼らの物語りに引き込まれてしまいますから。
そして物語が進むに連れ、この世界観こそが「パコ…」にとても似合っていることが判ります。おそらく普通の世界としてこのストーリーをしていたのでは、感動は生まれなかったに違いありません。この世界観だからこそ活きる!そんな演出は巧みであり、素晴らしいものだと思います。

偏屈であり自分以外は弱い存在として見ており、さらにはそんな人間に自分の名前を覚えられることすら嫌っている大貫が、はるかに弱い存在であるパコに絵本を読み聞かせたときに名前を言ったにも関わらず次の日覚えていなかったことに対しての驚き。実際に知ってることが当然なのに覚えていない。すでにこの時点で大貫はパコに対して、普通の人間とは違う何かを感じていたのだと思います。そして、決定的な手を出してしまった翌日、パコの病状を知った後でのパコの言葉と、頬に触れたときの言葉と表情。大貫にとって「自分だけを覚えていた」という初めての感動。正直この辺りからもう涙がポロポロと、こういうストーリーには弱くって駄目です。
ラストまで泣きまくりでしたが、なんともラストをさわやかにまとめているのもにくい演出でした。ひょっとしたら今までも劇だったのでは?とさえ思いました。正直思いたかったのかも知れません。

なんだか補足みたいになってしまいますが、患者のみなさんも各人いろいろな人生がありました。
包帯患者軍団だけはよく判りませんでしたが、そのほかの方たちはいい感じで見せ場がちゃんとありましたし、各人の人生がうまく周囲に絡み合っているのはやはりうまい。そしてそれらが鮮やかに昇華されるのが、サマークリスマスの劇ですね。全てがCGではないところも返って良かったと思います。やはりこれは現実の世界でもあるわけですから。

【一言いいたいコーナー】
・ラストの劇中では本当に嬉しそうに「体験」しているパコ。大貫の心を解かしたのは、こういう屈託な笑みも大きな要因の一つなんでしょうね。
・それだけにラストは…あんなことになろうとは…子供は好きなのでこういうところはあまり見たくはなかったのですが。もう少しなんとなからなかったのかな?やはり子供を使う以上、救いがないといけません。っていうところは正直ありました。せっかくの感動がここで引く人は多いことでしょう。
・「いっぱい泣けば止まります」「この子の心にいたいんだ」「明日は駄目だ、明日は駄目なんだ」いいセリフが多いのも特徴です。
・感動とたりしんみりしたときにギャグが入るのも特徴ですが、そのバランスが絶妙だったかも。
・監督である中島哲也氏は、このほか「下妻物語」「嫌われ松子の一生」などの作品があります。
・あまり出番のなかった謎の包帯患者のボーカルが木村カエラさんだったようです。
・ラストの歌!当時CMでも使われていて覚えていました。
Number591・あの絵本…何ページあったんでしょうか。結構なページ数だと思うのですが合っていたのかな?なんだか、どうでもいいようなことがちょっと気になったりして。

コメントありトラックバックです。
嗚呼,魅惑の映画道+Σ(hiroさん)の「No728 パコと魔法の絵本 2010年082
ラジオ・ヒッチコック(ロッカリアさん)の「『パコと魔法の絵本』 これは絵本なんかじゃない!と言いたい。
銀幕大帝α(ヒロ之さん)の「パコと魔法の絵本

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posted by 白くじら at 16:28| Comment(8) | TrackBack(3) | ファンタジー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは☆

今回も賛同して下さり、レビューを書いて下さり、有難うございました☆
またいつものようにリンクさせて頂きますネ〜♪

>この世界観のために、万人受けされるとは思えないところが唯一の残念なところですが

人それぞれ色々な受け止め方がありますよね〜!
映画はそれだからこそ、面白いのですよね〜!

では、また・・・ふふふ・・・白くじらさんは「次の次」ですよ〜☆
次の人は、明日の私の記事に書きますので、どうぞ宜しくね☆
Posted by miri at 2010年04月25日 19:28
こんばんは、miriさん。

こちらこそ、ありがとうございます。
まぁ、全員に受ける作品というのは難しいですし、その観た人それぞれの感想があって当然ですね。で、その感想を読むのが面白かったりして。(^^)

次の次ですか…何にしよう、まだ絞りきれてなかったり。
次もよろしくお願いいたします。
Posted by 白くじら at 2010年04月25日 20:58
こんにちは。
この作品は一度観ていたのですが、白くじらさんも仰っているように”万人受けしない”雰囲気が気になって、ほとんどまともに観てなかったんですよね。そのため、大貫に対する嫌悪感ばかり印象に残っていて、今回きちんと最後まで観れたのでよかったです。
それにしても、あの謎の包帯患者はカエラちゃんでしたか。豪華メンバーそろえてますね。アヤカちゃんも可愛かったです。

>あの絵本…何ページあったんでしょうか。結構なページ数だと思うのですが合っていたのかな?なんだか、どうでもいいようなことがちょっと気になったりして。

その気持ちわかります!一度気になると頭から離れなかったりしますよね。
あの絵本は結構面白そうなので、実際にあったら読んでみたいな〜。
Posted by 宵乃 at 2010年04月26日 13:52
こんばんは〜!
テラビシアにかける橋を思わせますね〜。
少女の脳内補足が。
ちょっと恥ずかしい劇は
僕らのミライへ逆回転に似てるかもです。
記憶が残らないのは、プラスでもありマイナスでも
あるのが分かる映画かも?
記憶が残らなければ何時でも新鮮だし
恨みっこなしでハッピーじゃないでしょうか?
Posted by hiro at 2010年04月26日 22:24
こんばんは、宵乃さん。

やっぱり雰囲気は独特ですね。元々舞台のものなので、演技過剰になっているのかもしれませんね。この作品は、このハイテンションなノリに付いていけるかどうかがまず問題なのかもしれません。
結構、知っている人が出ていたことには私もびっくりです。

あの絵本って、実際に売っていたりしないんでしょうかねぇ、タイアップで買われる人も多かったと思います。(^^)
Posted by 白くじら at 2010年04月26日 22:44
こんばんは、hiroさん。

悲劇的なところもあって、私は完全に「テラビシア…」とダブってしまいました。あの映画も泣いてしまいました。子供が○○になる作品は反則です。
「ミライ…」の劇はかなり凄まじかったですね。(^^;

幸か不幸か、実際に記憶がなくなることは困ったことですが、その部分がプラスに働くことも確かにありますね。
ハッピーかどうかは難しい問題ですが、少なくともパコは嬉しそうに笑っていましたね。(T T)

トラックバックありがとうございました。
Posted by 白くじら at 2010年04月26日 22:53
こんばんは!
コメント&TBありがとうございました^^

アヤカ・ウィルソンちゃん目的で借りたのですが、こんなにも気持ちが綺麗に洗われる作品だとは良い意味で予想を大きく裏切られました。
話の軸そのものは悲しい設定なんですけども、決して泣かせるだけじゃない、心を明るくもさせる素敵な作品でしたね。
映像にも拘りを持たせていて、その点にも好印象を抱きました。
今思えば、確かに記事に書いてらっしゃるように「テラビシアにかける橋」に雰囲気がとても似てますね〜。
あちらの映画も私は好きです。

この度は相互リンクの件、快く引き受けて下りましてありがとうございました。
私は専らレンタル専門で映画鑑賞していますので、白くじらさんのブログはとても参考になります。
色々と気になる映画を拝見していた際に見つけましたので、何本かレンタルリストに追加しました。
これからもTBやコメントをさせて頂くと思いますが、そのときはどうぞ宜しくお願い致します^^
因みに私が見ないジャンルはミュージカル映画です^^;
Posted by ヒロ之 at 2015年12月30日 23:02
こんばんは、ヒロ之さん。

アヤカ・ウィルソンちゃん目的でしたか。(^^)
そう、ただ泣かせるだけではなく、その後、さわやかにさせてくれる力を持った作品でしたね。こういう作品は好きです。
「テラビシアにかける橋」も好きな作品で、こういう映像の使い方は観ていて不思議な気持ちにさせて、ぐいぐい引っ張られます(ラストの解釈がちょっと難しかったんですけどね)。

トラックバックもありがとうございました。

相互リンクに関しては、こちらこそありがとうございました。
私もまったく同じで、劇場公開ばかりだととても付いていけないのですが、レンタル作品ばかりだと身近に感じるんですよね。(^^)
これからよろしくお願いいたします。

ミュージカルも結構好きですが、好きなのは古い作品ばっかりかな。
ホラー系だと「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」(リメイク)が面白かったですよ。
Posted by 白くじら at 2015年12月31日 19:33
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