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笠井産業の青年社長である笠井(土屋嘉男)が4000万の金をかけ造らせた豪華ヨット(あほうどり号)に乗り込んだのは、笠井の愛人でもある歌手の関口麻美(水野久美)、社員であり艇長でもある作田(小泉博)、推理作家の吉田(太刀川寛)、城南大学で心理学を教えている助教授村井(久保明)とその教え子である相馬明子(八代美紀)、そして臨時雇いの水夫小山(佐原健二)の7人でした。
ゴミゴミとした東京の全てから離れて楽しむ7人でしたが、その夜、低気圧が九州沖に発生、艇長である作田は引き返すことを提案しますが、笠井はそんなことは意に介さず直進するのでした。しかし嵐は笠井の予想を大きく上回り、引き返そうと思ったときにはもはや手遅れ…無線機は落雷で壊れ、マストも折れ、ヨットは名みな太平洋をあてどもなく漂流するのでした。
食料がつきかけようとしたとき、濃霧の中に忽然と現れた島。
一行は、島に上陸し飲み水を探しますが、ようやく探し当てた泉には人間の手が入った形跡がありました。人間が住んでいるかもしれないと希望がわいたのも束の間、彼らを待っていたのは1年間は放置されていたと思われる難破船でした。
この難破船を拠点に動き始める7人でしたが、核に関する海洋調査船であったことや航海日誌からこの島には食べられるようなものはほとんどなく、発見された新種のキノコ(マタンゴ)には麻薬に似た効果があることも判り、食糧難は続くのでした。
いつしか7人には苛立ちや対立が起こり始め、ついに吉田がマタンゴに手を出すのでした…。


この作品ではマタンゴという第3の生物(なぜ第3なのかは不明、人間、キノコ、マタンゴという図式なのか、それとも人間、途中形態、マタンゴなのでしょうか)の有り様もホラーとなっていますが、表面上は仲の良かった7人が、極限状態において本音で行動が行われるようになり、その人間の本質が浮き彫りになっていく怖さが秀逸に描かれていると思います。現代のようにひねった感じでもなく、ストレートに感情をぶつけ合うのが逆に今の時代においては新鮮かも。
特撮面においては63年作なので、ヨット実際には海上での撮影ではなく特撮であるとかわかっちゃうんですけど、それでも島ではいろいろな昆虫などに悩まされたようで大変だったそうです。
オチもなかなかいいですが…あの状態で食料として運び込んでいたのでしょうか。(^^;
【ここがいい!】
・単にキノコを知らずに食べていくのかと思ったら、ちゃんとキノコを食べてはいかん!と注意までされていたところに驚き。もっともそれでも食べてしまうところが、欲望に勝てない人間の性なんでしょうけど。
・怪人の方はなんとも言えませんが、マタンゴの形状はなかなかいいですねぇ。ただ、ほとんどフラフラと動いているだけなのが残念でした。
【ここは問題かな?】
・難破船での情報があまり活かされておらず、薬品などに弱いマタンゴですが、弱点を読んだだけで特に対策はとりません。
・難破船はもう1年前のようですが、それでも変身途上のキノコ怪人(天本英世)がいたりするのは実はおかしいのでは?ほかにもまだ人間化しているものもいるので、いったいどういうことなのでしょうか。新たに生まれてきているのかな?
・後半でマタンゴ化を始める人間たちが、恍惚となっている状態で終わってしまっていること…ただ設定ではマタンゴ状態になるためには一週間くらい必要ですから仕方がないのかな。
【一言いいたいコーナー】
・島に上陸したときには暑かったのか、御丁寧に7人中6人までもが帽子を被っていたり!
・予告などでは吸血…となっていましたが、そういうシーンはありません。
・完全にキノコと化しているマタンゴは「キャプテン・ウルトラ」に登場するバンデル星人になんとなく似ているような。ちなみにこの形状は核が爆発したときのキノコ雲をイメージしているんだとか。


Cinematheque 5+(|―|/‐\|\/|さん)の「マタンゴ -Matango-」
忘却エンドロール(宵乃さん)の「映画「マタンゴ」観た」
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星新一が大好きなので、彼の作品が原作になっている映画はないかなぁと探していたらこれを見つけたんですよね。
なんだかものすごい異様な雰囲気で躊躇してたんですが、このレビューを読んで観たくなってきました!
時間があるときに観てみますね〜。
うんうん、やはり恐ろしいのは極限状態で剥き出しになる人間の本性なんですよね〜
マタンゴは・・・失笑でしたが(^^;
原作は星新一だったのか〜(←好きです♪)
さすが、今作がモンスター映画で終わらなかっただけの事はあるなぁと納得したりして☆
星新一は私も好きで、学生時代よく読んでいました。
昔は電車に乗ることも多かったので本を読む時間もありましたが、今は自転車なので出張のときくらいですねぇ。
この作品は、宵乃さんが思っているとおり、独特な雰囲気がありますのでご注意ください。(^^;
アタンゴは当時ではかなり恐かったと思いますが、最近のホラー系に馴れている人が見ると…ですが、人間関係の醜さ、どろどろな関係はかなり嫌ですねぇ。
「何考えているんだ!コイツ!!」と思ったら作り手の勝ちかな。(^^)
星新一は、最初だけの参加のようですね。(^^;
爽やかで白くじらさんらしくて素敵ですね。所々にちりばめられた、可愛いくじらは白くじらさんが作ったものでしょうか?すごいですね。
星新一さんはショートショートが多かったですね。映画と言うのは意外でした。
一度、見てみたいと思いました。
テンプレート…ありがとうございます。
小物類も私が作ったものです。元々の画像で残っているのは、バックのラインくらいかも。(^^;
自分で作ったほうが、修正のときなど、何かと便利なものですから。
星新一さんに関しては、私も映画を観ていて名前が出てきたのでびっくり。
懐かしい名前に触れました。
この人のショートショートのアイデアは凄いですね。
観ると…夢に出ますよ。(^^)
マタンゴとコケミドロってゴジラ、ガメラと同列扱いでしたからねー。
でもこの2作を見てトラウマになった子どもは多いと思います(^^;
おお、そうでしたか。
夏休みはガメラの2作目以降、ゴジラの2作目以降はよく放送されていたような。(^^)
コケミドロっていうのもありましたねぇ、あとガンマー3号の増殖型モンスターもよかったかなー。
この辺りは造詣がグロイものが多かったですからねぇ。子供には衝撃的だったと思います。
ブームのピークと思われる頃、僕はギックリ腰でした(T_T)
白くじらさんとこのリニューアルにはコメントしましたが、肝心の?“マタンゴ”へのコメントが今頃になりました…(^^ゞ
このころの空想科学映画ってアイデアが稚拙と言うか、思いつきっぽいのですが、大人たちが一生懸命作ってる感じがして嫌いになれません(*^^)v
「キャプテン・ウルトラ」大好きでした!
よく“シュピーゲル号”を粘土で作ってました…
かっこよかったなぁ〜
その後、ギックリ腰はいかがでしょうか。しばらく無理は禁物ですよ。
なんだかマタンゴ、広まってしまいましたね。胞子のせいかな。
ついでに「美女と液体人間」から始まる3本も観ようかなって思ったりして。
とか言いながら「大怪獣バラン」を観ていたりして。
アイデアは稚拙に思えても、なかなかひねり出すのは難しいですよね。
そしてそれを映像化するのも。おいおい…と思えるものほど思いつくのは難しいかも。
「シュピーゲル号」懐かしいですねぇ。
思えばもうこの頃から合体マシンの下地はあったんですねぇ。(^^)