監督:ロバート・ワイズ
製作:ジュリアン・ブロースタイン
原作:ハリー・ベイツ
脚本:エドモンド・H・ノース
貴方たちの大人げないゴタゴタに介入する気はない。
時速4000マイルで20万フィート上空を謎の飛行物体がアメリカ東海岸、ワシントンへ向かって飛行してきました。
3時47分、ほとんど音もなく着陸した円盤はその後2時間微動だにせず、軍隊、そして野次馬たちがぐるりと回りを囲んでいました。と静かに正面に扉がゆっくりと開き、同時にタラップが姿を現しました。
中から現れたのは人間のような姿でしたが宇宙服に身を包んだ異星人そのもの…思わず後ずさりをする軍隊たち…異星人はゆっくりとこちらに歩いて来、ふところから何かを取り出しました。
それがぱっと開いたとき、銃声が轟きました。武器だと思った戦車兵が銃を撃ったのです。異星人はうめきながら倒れました。
近寄る兵たちは異星人の頭越しに円盤から現れた人型ロボットに釘付けに…ゆっくりと目の部分の覆いがスライドし単眼が現れました。単眼からの光は銃を、いえ、それだけではなく重機や戦車までも溶かしてしまいました。慌てて逃げ出そうとする人々、しかし異星人は苦しみながらもロボットに向かって何か命令をしロボットもまた停止しました。
異星人は病院に収容、大統領補佐官ハーレイが彼に面会しました。
異星人の名はクラトゥー(マイケル・レニー)、35歳くらいに見えましたが実際には130歳、2億5千マイル離れた星から5ヵ月かけて地球に警告を発するためにやってきたのです。
しかしクラトゥーは「その内容をアメリカ大統領だけには伝えることはできない。地球の全ての代表者を呼ぶように」と言います。しかしそんなことは不可能なことを知り、さらに扉に鍵をかけれらるにいたって彼は病院から脱走してしまいます。
クラトゥーは代表者だけではなく一般市民からも話を聞きたいと考え、カーペンターと名を変えてあるアパートに住み込みます。そこの住人であるベンソン夫人(パトリシア・ニール)、その息子のボビー(ビリー・グレイ)たちを通じて今回の宇宙人に関しての話を興味深そうに聞くのでした。
ある日ボビーに街の案内を頼んだクラトゥーは、戦争で倒れた人々の墓を、リンカーンの像を、そして地球で一番頭のいいと言われているバーンハート博士(サム・ジャフェ)に会いに行きます。バーンハート博士はカーペンターを宇宙人だと認めますが今の地球ではあなたの忠告を本気で聞く代表者はいないだろうと忠告し、力を見せたほうがよいといいます。それも誰も傷つかない方法でと。
それを聞いたクラトゥーはうなづき彼のオーバーテクノロジーを使い地球のあらゆる動力を30分間だけ停止させることにしました。しかしこのことは地球の代表者の恐怖心をあおる結果となりクラトゥー殺害の指示が出されてしまうのでした。
「サウンド・オブ・ミュージック」「ウエスト・サイド物語」で有名なロバート・ワイズ監督の古典SFの傑作。モノクロです。
原作はハリー・ベイツ、戦争を繰り返すおろかな人類が地球から宇宙へ出ることに対する警告の作品です。
このままゴタゴタをもったまま宇宙に出れば宇宙の規則により地球を抹殺するという…それを伝えに来たクラトゥーでしたが、自分に接してきた軍人たちの行動から一度はあきらめつつも、一般市民の特にボビーとの話の中で人間を好きになっていったのかも知れません。
到着早々銃弾に倒れ、追い回された挙句一度は死んでしまいます。それでも彼の平和を説く姿勢は変りません。
どうして人間はそれが判らないのか、根本に信じられるものを感じたからこそ彼は平和を訴えていたというのに…リンカーンの像の前で「こういう素晴らしい人と話がしたかった」というシーンはあまりにも印象的であり悲しくなるのも事実でした。
【一言いいたいコーナー】
・ここに登場するロボットの名前はゴート、ロビーとともにSF史に残るほど有名、単眼からの光線はあらゆる物を溶かすことができる宇宙の警察官ロボット。つまりロボコップのご先祖さまなのです。
・作品中では電気が止まったーと騒いでいましたが、実際には電話やボートのエンジンなどありとあらゆるものを止めつつも、病院の機器や飛行機は無事だったというなんとも平和的なエネルギー停止、恐るべしオーバーテクノロジーでした!
・2008年にリメイクされてしまいました。レビューはコチラから。「地球が静止する日」
アスカ・スタジオ(アスカパパさん)の「地球の静止する日」
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白くじらさんのレビュー拝読させていただきました。
一言いいたいコーナーは、なかなかユニークですね。
>恐るべしオーバーテクノロジーでした!
いゃ〜、白くじらさん、鋭いですツ!。
参りました。
【一言いいたいコーナー】は、レビューのこぼれ話ですが、ちょっと気になるところとかを箇条書きにしています。ときどき過剰書きになっちゃうような作品もありますけどね。(^^;
どんな不可能なことも「オーバーテクノロジー」という言葉が解決してくれますね。あはは。
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