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2006年05月23日

新・猿の惑星

1971年(Escape from the Planet of the Apes)
監督: ドン・テイラー
ストーリー
地球時間3955年…地球は壊滅した。

なるべくしてなった「続・猿の惑星」の最後の瞬間、テイラーの乗ってきていた宇宙船に乗り込みコバルト爆弾の爆発から助かったジーラ、コーネリアス、マイロの3人でしたが、その凄まじい衝撃は彼らを過去の時代へとタイムスリップさせてしまいます。

地球時間1973年、カリフォルニアの沖合いで漂流していた宇宙船を軍が発見し引き上げました。
そこから現れたのは3人の宇宙飛行士…思わず敬礼をする人たち…しかしヘルメットを脱いだその顔は…猿だったのです。
「続・猿の惑星」のあの状況で3人が宇宙船に乗り込み、しかも出発していたというのは、かなりストーリーに無理があるとは思いますが、これも天才マイロ博士のなせる業だったのでしょうか。(^^;

マイロの忠告で一切喋らなかった3人は、猿まねが得意な猿としてロスの動物園預かりとなりましたが、心理学者ディクソンとブラントンの検査を受けている内にジーラのいらいらが爆発、ついに喋ってしまいます。
その騒動の中、隣にいたゴリラにマイロは首を絞められ絶命、2人は査問会に出されることになりました。
彼らが喋り知能もあることは一般にも知れ渡り、彼らは一躍時の人に、人気も出、二人は町の生活を楽しむことになりました。
しかし大統領科学顧問ハスラインは査問会の時の彼らの言動から自分の時の考えを結びつけ、執拗に彼らを調べ始めました。
そしてついに催眠効果にから未来における人間と猿との関係を知ることに…ハスラインは彼ら二人、そしてジーラのお腹の中にいる子供を、危険分子と断定するのでした。そして…。

映画レビュー
オススメ衝撃の「猿の惑星」を180度転換して見せてくれるこの3作目は、全作を通して唯一のおそらく何の心配も無しに笑えるシーンを有していながらも、人間の身勝手な考えを相手に強要するという悲惨な面をも持つ作品でしょう。
2人を追い詰めるハスラインはまさに人間のことしか考えず、自分の考えをあくまでも理不尽に貫く人間です。
経緯まで聞きながら彼らを殺さずにはいられない彼は、まさに異常者に見えました。今からならまだ手が打てたように思えます。もちろん多重世界を持つ時間理論においてですが。
非常に悲劇的な作品で泣きそうになりました。

【一言いいたいコーナー】
・この作品ではどうして猿が人間にとってかわったが述べられていました。
それによると、猫、犬に伝染病が蔓延。ペットを失った人間はペットとして猿を飼うようになります。やがて少しずつ人間のすること、言語を覚え、猫や犬にはできない料理に家事にまでおこなうことに。
しかしこのころになると理不尽な扱いに猿たちは少しずつ文句を言うようになり、ついにアルドーと呼ばれた猿が初めて人間ならだれでもいう言葉…「NO!」を叫びました。
その瞬間が猿が人間に対して独立を宣言した記念すべき日となったのです。

関連リンク
1968年「猿の惑星
1970年「続・猿の惑星
1971年「新・猿の惑星
1972年「猿の惑星・征服
1973年「最後の猿の惑星

TRACKBACK
狼刃骸(werewolfさん)の「新・猿の惑星 (Escape from the Planet of the Apes)
ゆず豆的シネマ鑑賞記(ゆず豆さん)の「No.1131 『猿の惑星 3 新・猿の惑星』
posted by 白くじら at 20:17| Comment(4) | TrackBack(1) | SF | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。
「猿の惑星シリーズ」は、時代を越えて文明批判、平和の尊さを考えさせられる不朽の名作ですね。第1作目の悲しいラストも印象的ですが、第2作目のラストは更に悲しい気持ちになりました(でも当時はともかく、今時の若い子があのラストを見てピンとくるかしら?)。

私は第3作目が一番気に入ってますが、異端の存在との「共存」よりも「抹殺」を優先して考える博士が、何とも恐ろしいと思いました。自体の先読みが過ぎる故の行動だとは思うのですが、相手を理解しようともせず、殺られる前に殺れ!では「怪獣使いと少年」の民衆と同じですね(宇宙船で地球に来るだけの文明を持った人々を「猿人」というだけで動物園に入れるという処遇もまた問題ですが・・・)。
本作で気の毒なのは、コーネリアスとジーラ夫妻の世話係の人。上層部の事情など何も知らない末端の人で、どちらかというと夫妻に好意的な感じで接していました。妊娠中のジーラにたっぷり栄養をつけて元気な赤ちゃんを産んでくれみたいな事も言ってましたが、その時の赤ちゃんに対する形容を「下等動物」扱いに受け取ったコーネリアスに殴り倒されて死んでしまいます。
コーネリアスも、人間の科学者達が人間世界の維持の為に自分達から生殖力を奪い、生まれてくる赤ん坊を殺そうとしている事を知って気が動転していたのでしょうが、もう少し冷静に対処する事はできなかったのでしょうか?世話係には、何が何だかさっぱり分らなかった事でしょう。実に浮かばれない話です。

最終的には、夫妻の息子が人間と猿の共存世界を作り出してくれますが、どうか平和な世界がいつまでも壊れずに続いてくれる事を祈りたいです。
Posted by A-chan at 2010年11月05日 02:10
こんにちは、A-chanさん。
フォローが大変遅くなり、誠に申し訳ありませんでした。

1、2作目ともに人類の警告としてはあまりにも悲しい現実が突きつけられる作品となってしまいましたね。
しかしここからさらに3作目に続くとは思ってもいませんでした。(^^;

人間というものは、自分と異質なものは排除しようとする傾向にあるようです。それが自分の理解できないもの、そして自分たちへの脅威となるものは特にでしょう。

確かに世話役の人…あまりにも無慈悲でしたね。
コーネリアにしては…の行動でしたが、彼も妻と赤ん坊のために仕方がなかったのでしょう。でもこういう「仕方がない」という行動が埋めることのない亀裂を作っていくのでしょうけど。

共存世界…壊れないで欲しいですね!
Posted by 白くじら at 2011年03月30日 15:19
こんにちは。TVでやってたのを観ました。
1しか観た事なかったから、前半のコメディみたいなノリにはビックリしてしまいました。とりあえず動物園に入れるとか(笑)
なんか話が飛んだような?と思っていたら、これの一つ前にもう一つあったんですか。シリーズを順にオンエアしてほしい!
後半はうってかわって人間の愚かさなど考えさせられる作品になってましたが、最後の仕掛けはちょっと納得いかず・・・。一体誰が考えたんでしょう?
チンパンジーと心を通わせたジーラたちがそんな事するはずもさせるはずもないし、サーカスの人だってチンパンジーの親子を可愛がっていたのに・・・。
あんな事したら、人類の未来のために小さな犠牲も厭わないハスラインと同じになってしまいますよね〜。
Posted by 宵乃 at 2012年02月24日 11:33
こんばんは、宵乃さん。

最近のリメイク版のせいですかね。レンタル屋さんにも今までの作品がずらりと並んでいましたよ。

1作目との逆転騒動や有名人になって生活を楽しむところは、面白かったですね。動物園のシーンは、やっぱり1作目の逆として皮肉られていたのかもしれません。
前作は1作目のそのまま続きとなっています。できはそれほどいいわけではないのですが、その結末の影響で現代に現れたということです。やっぱり通してご覧になるのがいいと思います。

後半の仕掛けはどうなんでしょう…命の重さは同じだと思うのですが…しかし結局は人間と同じ結末を迎える猿たちも同じように愚かなのかもしれません。なまじ頭がよくなると差別や争いもより大きくなるんですね。
Posted by 白くじら at 2012年02月24日 23:36
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新・猿の惑星 (Escape from the Planet of the Apes)
Excerpt: 記憶が正しければ、私が最初に観た『猿の惑星』が、この『新・猿の惑星』(廉価版 / 通常版)です。 (非常に幼い頃でしたので、これ以前の作品の魅力が損なわれる事が無かった点にも感謝です。) 地球に..
Weblog: 狼刃骸
Tracked: 2006-05-28 10:08
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