監督:バイロン・ハスキン
製作:ジョージ・パル
原作:H・G・ウェルズ
脚本:バー・リンドン
それは神に与えられた最小のものであった。
20世紀中ごろ、人類は火星人たちの観察対象になっていました。火星からの移住を考えていた彼らは、太陽系内でもっとも適している惑星を地球と断定し、その攻撃開始は18年ぶりに火星と地球がもっとも接近するときでした。
心地よい夏、カリフォルニアに落下した隕石は、その大きさからいっても巨大なクレーターを作り出すはずなのになぜか小さく、調査に呼ばれたフォレスター博士(ジーン・バリー)は嫌な予感を感じます。
しかし隕石はまだ高温のためその日は待機することに…街ではスクエア・ダンスが催されており博士は現場で知り合った図書館学の教師シルビアと踊っていました。
ちょうどそのころ隕石の番を任されていた3人は、隕石の上部が回転しそこから触手のようなものが出てきたのに気付きます。
辺りを走査するように動く触手…3人は火星が近付いていることから中にいるのは火星人なのでは、と友好的に接しようと白旗を振りながら近付きますが、触手の先端から激しい光がほとばしり3人は光の中に包まれて消えてしまうのでした。
この事件を発端としてさらに隕石が落下、海兵隊の出動により包囲陣がしかれましたが、その問答無用の戦いの準備に疑問を感じたシルビアの叔父コリンズ牧師はただ一人隕石に向かいました。その結果は無残にも熱線砲に…。
戦車、迫撃砲、バズーカ、マシンガンなどの攻撃の火蓋が切って落とされました。しかし姿を現した奇怪なデザインのマシーンは強力な電磁気シェルターに守られ傷1つ付けることができないありさま、触手の先端から発せられる熱線と両翼からの全てを消してしまう怪光線に軍隊は撤退、そんな中フォレスター博士とシルビアは飛行機に乗って脱出しますがコントロールを失い墜落してしまいます。
近くの農家に逃げ込んだ2人はようやく一息入れられると思いましたが、なんとその地にも隕石が落下!
2人に迫るマシーンからの調査アーム、先端の3色のテレビ・アイが2人に…さらに火星人が彼らに…無我夢中で撃退するフォレスター博士は破壊したテレビ・アイと火星人の血の付いた布切れを持って脱出するのでした。
一方、世界各地に降り注ぐ隕石が三身一体の法則を持ちつつ攻撃していることを突き止めつつも、対抗策はなく次々と主要都市が壊滅、ついに首脳陣は原子爆弾を使用することを決断するのでした!
1953年、バイロン・ハスキン監督、H・G・ウェルズ原作の名作SF作品です。
「月世界征服」「地球最後の日」のジョージ・パル製作というのも有名。秀逸なマシーンのデザイン、触手状のアームなどを使った見せ場も多く、息をもつかせないストーリー展開となっています。
圧倒的な攻撃力はほぼ同時期に作られた「地球の静止する日」と同じですが、宇宙人の性格はまったく正反対、この火星人は問答無用で襲ってくる恐るべき侵略者として扱われています。
火星人の特徴も攻撃パターン、視覚、血液、体型から対抗策を打ち出そうとしているところが面白い。
無敵な宇宙人という敵に地球全体が協力しなければならないという、一種の平和を説いた話にはなっていますが少々その感は薄いかも知れません。どちらかというとキリストの教えが前に出すぎているために「奇跡」が重要なキーになっているところだけが残念です。
スピルバーグのリメイク版が姿を現していますが、どのようなリメイクになっているのか観る前に前作のおさらいをしておくのも面白いでしょう。特にラストがどうなるのでしょうかという点が大きな話題だったのですが…このオチは少し前に「インデペンデンス・ディ」もオマージュしています。
【一言いいたいコーナー】
・原作ではイギリスが舞台なのですが映画ではアメリカが舞台となっています。これは作った会社の問題なのでしょうね。
・原作で登場する3本足の背の高い兵器が登場しないのは残念、リメイク版で出ています。
・マシーンのデザインは非常に秀逸です。おしむらくはこのマシーンは15本ものピアノ線で吊るしているのですが…それが見えます。それもはっきりと、昔のとはいえこれほどはっきり見える作品も珍しいかもしれません。(^^;
・それにしても用意周到な火星人たちが、地球の大気に有害なものがあるのを調査できていなかったのは、彼らにとっても未知のものだったからでしょうか。
1953年「宇宙戦争」
2005年「宇宙戦争」
子育て 時々 映画(マミイさん)の「迫りくる恐怖」
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おもしろかったです。
圧倒的な敵の前になす術もなく逃げる事しかできない人間
・・・・・ハラハラドキドキしながら観ました。
ラストもビックリでした。
考えてみれば、火星人は知能は巨人級だけど身体は・・・と
一応伏線はっていたんですよね。
観ている間ずっと「マーズ・アタック!」の事が思い浮かんでいたので
教会でみんなが讃美歌を歌っている時にもしかして・・・!と思ったら
おおはずれでした。笑
>このマシーンは15本ものピアノ線で吊るしているのですが…それが見えます。
私、全然気づきませんでした。
昔の映画だからフィルムにたくさん傷がついているなぁ・・・と思ってました。
あれはピアノ線だったのかも!?
逃げ回っていた人間たちですけど、いろいろな方法を考えて戦っているのがよかったですね。ラストは一番最初のプロローグにかかっていたわけですけど、当時は衝撃的でしたねぇ。
「マーズ・アタック!」もリメイクですが、ブラック・ジョークに彩られていましたから、これは観る人を選びそうですねぇ。
悪趣味でしたけど、こういうのも映画としては面白いと思います。
その傷がきっとピアノ線だったと思います。(^^)
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