監督:スティーブン・スピルバーグ
製作:キャスリーン・ケネディ、コリン・ウィルソン
製作総指揮:ポーラ・ワグナー
原作:H・G・ウェルズ
脚本:ジョシュ・フリードマン、デヴィッド・コープ

彼らは、すでにここにいる…。
ある日のこと、湾岸労働者レイ(トム・クルーズ)は、別れた妻マリー・アン(ミランダ・オットー)が子供たちを連れてくるため仕事を早々に切り上げて戻ってきました。
マリーが今の夫とボストンにある実家に戻る間、子供の面倒を見て欲しいというのです。
ロビー(ジャスティン・チャットウィン)とレイチェル(ダコタ・ファニング)は、レイとなかなか打ち解けようとせず、特にロビーにいたっては彼をパパと呼ばずレイと呼ぶほどでした。
ロビーが勝手にレイの車で出かけたときのこと、外に出たレイは上空の様子がいつもと変わって暗雲が渦巻いているのを目撃します。嵐にしては風が吹いてくるのではなく、嵐に向かって風が、とその時、落雷が!
同じところに落ちないはずの雷がなぜか何度も同じところに落ちてきます。レイとレイチェルは机の下でじっと嵐が通り過ぎるのを待ちました。
やがて辺りが落ち着いたとき、周囲では電気はおろか、電話、携帯、車などすべての機械が停止していました。
レイはレイチェルに家にいるように言い、様子をみるために飛び出しました。周囲でも車が停止して動かなくなっていました。
知り合いの話しによると雷は都合26回、しかもやはり同じところに落ちたらしい。人々がその穴を覗きこんだとき、次の異変が起きました。
地震、地割れは道路を横断するだけでなく建物まで割り、そして地の中から3本足の巨大なマシーンが姿を現したのです。
一瞬状況の飲み込めないレイたち…そんな彼らに向かって死の光線が発射されました。それに当たった人たちはまるで弾け飛ぶように肉体が滅びてしまうのです。
悲鳴が上がり死の灰が舞う中、レイは家まで逃げ帰ると、帰っていたロビーとレイチェルを呼び何も言わず逃げる準備をさせるのでした。説明を求めようとする2人も、あまりのレイの変わりように黙ってしたくを始めます。
唯一動く車に乗り込み、再び迫ってきたマシーンの攻撃から逃げる家族はいったい何処へ…。

これはいったいどうしたことでしょうか…最初のプロローグからエピローグまでほぼ「宇宙戦争(1953年版)」と同じ、単に科学者だった主人公が一般人になっただけ…と観る視点が当然変わるのでその点では面白かったのですが、そのほかには宇宙船がトライポッドになっただけで、あの隠れ家でのサーチ用のアームや火星人、叩き切るところまでそっくり。
しかも一般人なのでその部品は役立てることもなく捨てられます(おおっ)。
ラストのオチも同じで、腕だらりまで…うーん、公開前にどうしてあそこまで秘密に徹したのでしょうか、何も目新しいことがなかったのが非常に残念です(だから極秘扱い??)。
こんなことならリメイク版とちゃんとうたって欲しかったですねぇ。ひょっとしてそれなら客が入らないかと思ったのでしょうか。
さらに一般人を主人公にしたために、火星人がなぜ3機でグループを作っているのか、血を欲しがっているのはなぜ(あの植物は謎です)、といった部分がすっぽりと抜けてしまっていたようです。
逃げるだけではやっぱり難しいですよねぇ。SFはアクションだけではなくそれなりの理由付けがやっぱり欲しいのです。
こういうところはビジュアル的に弱かった昔の作品の方が優れているのではないでしょうか。
トライポッドが地面から出てくるところは序盤の見せ場ですが、なぜ地底に潜っていたのかはさっぱり謎です。しかも眠っていたのかと思えば稲妻にまぎれて乗り込むという二度手間を。
こんなことなら宇宙船で降りてくればいいのにと思ってしまいました。潜っていた間に地球を調べていたというのならあのラストには納得いきませんし、謎です。
家族ドラマとして見ても、あの状況では逃げるだけになってしまいますし、前振りでさんざん言われていたほどのドラマ性は感じられず、普通ではないかと思いました。
幼いレイチェルとはなんとか通い合ったよう感じでしたが、ロビーとはあれでは無理な気が…なにせ状況的にレイチェルのところへ早くいかなければならなかったので、レイが全然納得していないまま折れてしまっただけのように感じました。
それでもロビーはやっと信じてもらえたとばかりにうなづいていましたが…しかもその直後の大爆発で普通は。ラストはちょっとねぇ、あれだけ自分勝手に逃げまくってて平和的にまとめすぎかな。ロビーの件も不可思議極まりなかったです。しかもあのマリーの家の平和そうなこと、どうしてあの家は被害を受けていないのか不思議でした。まさか…霊界?(^^;
ただ家族との絆は…ラストではレイとマリーとの間には「大きな溝」があるままでしたね。
レイチェルを演じていたダコタちゃんの演技はひょっとしてトムを超えているのではと思いました。
あの恐怖から我慢に我慢をしての悲鳴にはびっくり、ただ逆にレイとロビーがあまりにも冷静なのであのシーンではただうるさいだけになりそう。でもあのレイチェルの反応こそ正しいと思います。
というわけでいろいろ文句を言いましたがあのトライポッドの動きと迫力は一見の価値がありました。
なんだか非常に残念な作品でした。
【いっぱいいいたいコーナー】
・で結局大阪はいったいどうやってトライポッドを退治したのでしょうか。やっぱりボケとツッコミでしょうか。(^^;
・あの自分が修理を指示した車に乗って脱出しようとするレイ…あれしかないとはいえ、あまりにも自分勝手な。ほかの手段は考えらなかったのでしょうか。それにしてもほかに直った車がなかったことにもびっくりです。
・どうしてもレイをヒーローにしたかったのか、レイが逃げた方へとくる地割れ、あの破壊光線もレイをかすっているシーンの多いこと、極めつけの最後の「鳥が…」のシーンなど観たくなかったです。ダメ親父のままいろよー。(^^)
・そもそもバリアが切れていたのはなぜなのか。体調が悪くなって「たまたま」解除SWにでも触ったのでしょうか。(^^;だとしてもせいぜい1台くらいでしょうに。
・「宇宙戦争(1953年版)」のレビューのときにも書いたのですが、用意周到な火星人が大気の有毒要因になぜ気付かなかったのが疑問ですね。旧作では「観測」という言葉を使っていたのでまだよかったのですが、今度はかなりしっかりと調査していたようですが。
・宇宙戦争自体の意味は地上での戦いに続いて宇宙にも進出する地球、それはすなわち対人間が対火宇宙人となるというニュアンスです。戦うところが地球なだけでこれも星間戦争の1つです。宇宙空間でバシバシというのを期待して観るとびっくりするのでご注意ください。

1953年「宇宙戦争」
2005年「宇宙戦争」

《ネタばれ》レンタル放題。(はちさん)の「○「宇宙戦争」」
映画FANの館 DVDで楽しみませんか?(自由人さん)の「宇宙戦争(2005)WAR OF THE WORLDS」
映画の週末 芝居の週日(チッチさん)の「宇宙戦争」
★☆カゴメのシネマ洞☆★(カゴメさん)の「★「宇宙戦争」、誤魔化しようのない駄作★」
年がら年中爆走するブログ!!(shit_headさん)の「トムクル、また逃げる。「宇宙戦争」」
忘却エンドロール(宵乃さん)の「映画「宇宙戦争」観ました」
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子育て 時々 映画(マミイさん)の「ちっぽけな存在」
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やっと白くじらさんのレビューで私が観た作品に出会いました(って私が観てなさすぎですが^^;)
私の第一印象では『ダコタちゃん、うるさすぎ〜っ』だったんだけど、考えようによっては一番ありえる反応なのかもしれませんね(^^)
この作品で一番心に残ったシーンはティム・ロビンスがいた隠れ家のとこかな?
結構緊張感があったし、ティムが宇宙人より怖く感じた私。
やっぱり異星人より人間が一番怖いと思えた瞬間でした。(大袈裟だね〜私)
あとはただただ逃げ惑って、観てる私が疲れたな〜って感じでした(^^)
こういいつつ、面白かったんですけれど(^^♪
ついにめぐり合いましたか…って私はちと評価が低いです。(- -;;でも私もそれなりに楽しめたんですけど…でもいろいろとツッコムところが多すぎました。(^^;
ホント、あの隠れ家のシーンでは人間の怖さが出ていましたね。ティム・ロビンスがどこに出るのかと待っていたらこういう、でも大事な場所で、大事な役柄でしたね。
ある意味、確かに異星人よりはるかに怖い人でした。
逃げ回っているだけでのドラマは難しい…と。(_ _) 妙にトムクルーズだったのが…。
僕にとってこの作品の印象は、ただ「トライポッド」の存在感に尽きると思います。
CGの力はもちろん大きいと思いますが、古いSF的発想と現代のテクノロジー的な考証との融合でしょうね。
旧作の方を見ていないので、そちらと比べてどうかは分からないのですが、宇宙人の侵略絡みのシーンは全体的に説得力が薄く、強いて言えばARIAさんが仰っている通り、あの地下室でのシーンは迫力があったと思います。
アクション作としてそこそこ楽しめる程度の作品で「スターウォーズを超える!」なんておこがましいにも程がありますね(^^;
まさにそのとおりですね。その作品は登場人物うんぬんよりもはるかに「トライポッド」の存在が大きかったように思えます。
この圧倒的迫力を観るだけでも一見の価値はありました。ただストーリー的にはちょっとー。って感じではありましたが。(^^;
地下室でのシーンはティム・ロビンスの存在が大きかったですね。人間も怖かったですし、まるで「アナコンダ」のような触手もなかなかよかったです。
「スターウォーズを超える!」というのもありましたか。(^^;;むむ、それは
あおり文句が凄いのは仕方がないですが、あまり大風呂敷を広げると落胆度も大きいので困りますね。
TBさせていただきました。
この映画やはり評価は分かれますね。
私も今一つと言った感じです。
それにしても、見易いブログですね。
勉強になりました。
今後ともよろしくお願いします。
そうですね、映画はこういう正反対の意見があってこそレビューを書いていて面白いところかもしれませんね。
なかなか万人に受ける映画、いわゆる名作が世の中に出てくるのは難しそうです。
リメイクならなおさらでしょう。
ブログのデザインは難しいです。
まだ完全に自分の思ったとおりにデザインできない自分の腕がもどかしいです。(^^;
トラックバックありがとうございました。
宇宙戦争、レンタルで見たのですが最後の
あっけなさに、ガッカリ(-_-)
宇宙人の乗り物(笑)に鳥がとまってるからシールドが消えて・・宇宙人は地球の細菌みたいのに適応できなかった・・あまりにも、雑
リメイクらしく、もちょっと現代風にアレンジできなかったのですかね?疑問だ。
私は、「宇宙戦争」無視して隣でやってた「スターウォーズ」に直行でした(笑)
最後のオチは、前作であればどんな攻撃をもまったくといっていいほど効かない火星人たちが、単なる微生物に倒されるという皮肉のように描かれていて、それはそれでよかったのですが、今回の作品では、そういう攻撃面があまり全面に出ず、逃げてばかりのシーンが多いので、そういうころが薄れているのだと思います。
とはいうものの、いまとなっては使い古されたオチであると言わざるを得ませんが。(^^;
これだけ極秘で隠しまわっていたのですから、今風のオチが観たかったのは私も同感です。
大阪人はどうやって敵を倒したのか!? 戦いの主力となったのはオバチャンたちに違いありません……。
1953年版の方は対異星人ということで、科学者や軍隊側がメインなので、戦争ということでは面白いのではと思います。
ただ特撮面などに関してはどうしても2005年よりも劣るので、迫力不足になるかもしれませんが、コレだけとって観ると十分いい感じです。それに描写で劣るところは設定がカバーしております。
ああ、おばちゃんたちの力は凄いですからねぇ。
「あんた、なにやってんの!!」とビシバシしていたかも知れませんね。(^^;
トラックバックありがとうございました。
>あの恐怖から我慢に我慢をしての悲鳴にはびっくり、ただ逆にレイとロビーがあまりにも冷静なのであのシーンではただうるさいだけになりそう。
ダコタちゃんの声が潰れちゃうんじゃないかと心配になったですよ。
>で結局大阪はいったいどうやってトライポッドを退治したのでしょうか。やっぱりボケとツッコミでしょうか。(^^;
きっと食い倒れたんです(笑)。
ティム・ロビンスの役に関しては、
「別に殺す必要ないわなぁぁ」と不憫に感じたですよ。
一番悲惨な被害者ですね、彼(苦笑)。
ダコタちゃん、収録後は咽が大変なことになっていたのではないでしょうか。
大変な頑張りようでした。
残念なことに周りがあまりにも冷静すぎたので…。(^^;
>きっと食い倒れたんです(笑)。
そのノリ、いいですねぇ。ということはその後、カニのハサミが…なむなむ。
ティム・ロビンス…は、なんだか悲惨な役どころでしたねぇ。これまた、なむなむです。が、ちょっと意味ちゃう。
ツッコンでますねー。(笑)これは脚本がひどかったですね。雑もいいとこ。設定もテキトーで素晴らしかった。スピのやる気のなさが伺えましたね。
これはトムクルがとにかく必死に逃げてましたね。エイリアンの攻撃シーンも怖かった。それだけでかなり楽しめました。
僕としては、ティム・ロビンスは必要だったのか疑問でした。
TBしますね。
これはホントに突っ込みどころ満載で、書いても書いてもキリがありませんでした。(^^;
映像面がよかった分、とても残念な作品でしたね。
いっそのことトムではなく新人を起用すると不自然なシーンもなくなったのではないかと、今でも思ってしまいます。
ティムである必要性はなかったですし、あそこで殺さなければならない状態もそれほど必要ではなかったように思えますね。
ただ「殺してしまったので」人間ってやっぱり怖いわーと思わせてはもらいました。
トラックバックありがとうございました。
煽り文句も凄かったようですし、期待してみたら肩透かしかもしれません。
とりあえず、観てから時間がたっているせいか、内容がよく思い出せなかったりします・・・。上のコメントで言っているティム・ロビンスって誰でしたっけ?
ダコタちゃんの演技と、空き家でカメラから逃げ回るところしか覚えてないかも(笑)
前作を知っていて、しかもそれが好きであればどうしても…冷静に評価したいとは思っているのですが、なかなか難しいですね。(^^;
ティム・ロビンスはあの廃屋にいた男で、薄暗い上にちょっとしか出てこなくって、カメオ(ちょっと意味違うかも)出演みたいなものだったのかも知れません。
ダコタちゃんの印象は、ほかの役者さんを上回っていましたからね。(^^)
>SFはアクションだけではなくそれなりの理由付けがやっぱり欲しいのです。
ですよね!
なるべくツッコまないように・・・と思って観てはいたのですが、
この作品は疑問が多すぎたように思います。
>マリーの家の平和そうなこと、どうしてあの家は被害を受けていないのか不思議でした。
マリーのご両親は1953年版の主演のお二人なので
宇宙人対策は万全だったに違いありません!笑
>で結局大阪はいったいどうやってトライポッドを退治したのでしょうか。
うふふ・・・ついに通天閣ロボの存在に気がついてしまいましたか!!
緊急時にはトランスフォームするんです。笑
(通天閣ロボグッズはホントにあるみたいです。)
せっかくリメイクするのだから、映像だけでなく
脚本もきちんと作りこんでほしいですよね。
これはなんともツッコみだしたらきりのない作品になってしまいましたねぇ。(^^;
そもそも一般人であるトムをヒーローにするような演出が多いのでこうなるのかもしけません。普通に軍人の方がよかったのではないかと思います。
お二人はカメオ出演だったようですね。
息子までぴんぴんしていたので、ひょっとしてあの世?とか思ってしまいました。
通天閣ロボ!!
何かその響きは聞いたことがありますよ。
まぁ、残念ながら映像だけの作品だったようですね。
でもその映像は凄かったりします。(^^)
トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。
私も序盤だけ観ましたけど、確かに画面効果は凄いですね。さすがはスピルバーグと唸らせてくれます。
まぁ、やっぱりトムに家族ドラマ、特にこういう作品では難しいんでしょうね。彼はやっぱり格好よくなければならないのでしょう。ダメ親父だけでもよかったんですけと、どうしても格好よくみせるために光線はギリギリだったり、ラストの鳥のシーンはトムが気づくようになってますしね。結局は親父してても演出上はヒーローなんですよね。(^^;
オリジナルのように軍が出てきて、本当に戦争している中でのトムなら問題なかったと思います。
ひた隠しにされていた内容ですが、ふたを開ければラストは同じ…この時代にこのラストはちょっと拍子抜けした人が多かったようですね。
宇宙に出て戦争するとスターウォーズになっちゃいそうですね。