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2006年05月26日

キング・コング(1933年版)

1933年(King Kong)
監督:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードザック
製作:メリアン・C・クーパー、アーネスト・B・シュードザック
製作総指揮:デヴィッド・O・セルズニック
脚本:ジェームズ・クリールマン
ストーリー
コング、それは「世界第8の不思議」。

預言者曰く…。
「野獣は美女の顔を見ると、殺そうとしていた手を止めた。その日以来、野獣は死んだも同然だった。〜古代アラビアの諺〜」

ライオンでも撮影をすることで有名な冒険活劇の巨匠カール・デナムは、次作の舞台に南海の孤島スカル島を選びました。
しかし目的地が秘密にされていたため、俳優手配師ウェストンは、そんな不透明な撮影旅行に女優は預けられないと拒否、冒険活劇にもロマンスが必要と叩かれていたデナムは一人街の中に女優を求めてさ迷い歩きます。
そして偶然にも…あまりの空腹にリンゴを手にとった女性アン・ダロウ(フェイ・レイ)、デナムは彼女が一目で気に入り、次の作品に出てくれと頼み込むのでした。

ガス爆弾を積み込んでいる船は、女優が乗り込んだことを期に保険会社の調査が入るまでに出航。アンはその航海の中、一等航海士のドリスコルと言い争いをしながらも、お互い気になる存在として意識しはじめるのでした。
一方、デナムは船長に目的地がスカル島であることを明らかにし、失われたバーク船長の海図を見せるのでした。やがて、白い霧の中、スカル島が不気味な姿を現します。どこからともなく響いてくるのは太鼓の音なのでしょうか。
上陸した一行はそこで原住民の儀式を目撃することに、しかしデナムの撮影欲が儀式を邪魔することになり、なんとか船長の通訳でお互い気持ちが和らいだかに思えたのですが、族長がアンに目を止めました。金髪の女性はこの島では珍しく、女6人と交換してでもコングの花嫁に欲しいというのです。そんな話にのれるはずもなく、一行はその場を退散することにしたのですが、コングとはいったい…。

その夜、原住民たちは船に忍び込みアンを誘拐し、コングの生贄にしてしまいます。
間一髪間に合わなかったドリスコル、デナムたちは、アンを奪って逃げた野獣を追って、島の奥へとわけいるのでした。
しかしそこは、さながら失われた大陸、恐竜たちが徘徊する世界だったのです!

関連リンク
1933年「キング・コング
1933年「コングの復讐」デナムが再び島でコングの息子に。復讐ではない。
1976年「キング・コング」リメイク1回目(大筋は同じ)、感動もの。
1986年「キング・コング2」落ちたコングの心臓が!+メスコング登場、悲しすぎる!
2005年「キング・コング」リメイク2回目、アクションが凄すぎる感動もの。

映画レビュー
オススメキング・コング(2005年版)」で2回目のリメイクとなるモンスター映画の原点とも言える作品です。
この作品の言わんたることはラストの名セリフ「倒したのは飛行機ではない、美女が野獣を殺したんだ」に全てかかっているのですが、見ごたえがあるのはなんといっても特撮、コング自体もそうですが、さまざまな恐竜との死闘、人間との戦いなど、島に着くまではわりと普通なストーリーなのですが、島に着いてからは一転見せ場の連続です。
この特撮は、絵の代わりに粘土を動かすストップモーション・アニメーションが使われ、その生みの親であるウィリス・H・オブライエンが担当しています。
かのレイ・ハリーハウゼンのお師匠でもある人ですね。
この手法は現在のクレイ・アニメーションとして「チキンラン」などに今なお独特な効果をもった手法として使われています。

実はこの作品のコングは後にリメイクされた2作品よりも、かなり悲劇的ではないかと思っています。
というのもコングはアンを気に入り彼女を守るために戦うのですが、肝心のアンはコングを怪物なので当然といわんばかりに恐れているだけなのです。あくまでも恐れているアンに最後まで彼女に手を伸ばすコング、そしてその手を離すときがあまりにも悲しい。
コングはこの時代に生きるニューヨーク中の人間から、敵視され排除されようとします。そんな彼に救いの手は一切差し伸べられない。ラストの言葉をそのまま受け取ってもいいものかどうか…確かにコングは島でアンを気に入ったときから弱点を持ってしまったのでしょう。
しかし特異な怪物を見世物にし、逃げ出すと簡単に殺してしまえばいいという人間の勝手な生き様が殺したにほかならないのでは思います。

ただ最初にも書いたようにこれはモンスター映画にとっては原点とも言える作品で、それだけお手本になるという点では偉大な作品ではないかと思います。

【一言いいたいコーナー】
・まさに「惚れた女性は死ぬまで守る」、男の鏡なのかも。
・ちょっぴりエッチなコングだったりします(笑)。
・元々のオリジナルでは谷でクモガニが人間を捕食するシーンが残酷ということからカット、また原住民に襲い掛かるところでなんと口に入れるシーンがあってこれもカット、ただしこちらは1971年に復元されています。ちなみにニューヨークでも口に入れているシーンがありました。
・島では18フィートのコングでしたが、ニューヨークでは画面効果から24フィートに変更されています。
・アン役のフェイ・レイはホントは赤毛で、このときはかつらをつけていたそうな。
・この後、オブライエンは続編である「コングの復讐」、こりないデナムは再びスカル島に赴くのですが…を作っていますが、こちらは予算も削られ惨憺たるものだったようです。

コメントありトラックバックです。
子育て 時々 映画(マミイさん)の「人間の方が野獣
posted by 白くじら at 00:47| Comment(4) | TrackBack(1) | モンスターパニック | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんは。

最近はリメイク流行りなんでしょうかねー?^^
キングコング・・・昔見たときはただただ悲しいって印象が残ってて、二度見ることはなかったです。
小さい時に見たからはっきり理由が分からなかったけど、今更ながら白くじらさんのコメント見て分かった気が・・・(泣)

リンクありがとうございます!
それもなんと立派なリンクを・・・
こ、心苦しい・・・が、がんばらねば・・・ヽ(´ー`)ノ
Posted by 葉山猫 at 2006年05月26日 01:55
こんにちは、葉山猫さん。
コメントありがとうございました。

あの「ポセイドン」といい、リメイクが大流行り…というか最近は脚本家がだめなのでしょうか、昔の作品の作りなおしで、アイデアはもらい特撮をCGで強化しているようなのばかりで、なんだか残念です。

これではあまりにもキング・コングが哀れでした。なまじアンとの感情の交流がなかった分、後のリイメク2作よりも悲しくなりました。

リンクに関しては…。
どういたしまして。今後ともよろしくお願いいたします。(_ _)
Posted by 白くじら at 2006年05月27日 19:29
白くじらさん、おはようございます。
トラックバックありがとうございました。

毛皮のせいか、粘土よりより本物らしく感じる事ができますね。
この時代にこれだけの特撮ができるなんて本当に驚きです。

>ラストの言葉をそのまま受け取ってもいいものかどうか
本当ですよね!
私は「お前が言うなぁ〜!」と怒り心頭でした。笑

ただのモンスターパニック映画ではなく、
悲劇的な面が大きいからこそ
後世に多大な影響を与えたんでしょうね。
Posted by マミイ at 2012年01月27日 09:56
こんばんは、マミイさん。

この時代にこういうものを作れるのは、やはり映画をこの上もなく愛していたのだと思います。根気の仕事ですよねぇ。

キングコングはちょうど真ん中の時代のモノがまだレビュー上げていないので近々上げたいと思っています。
両方とも観ているんですけど…レビュー書けるほど覚えていないものですから。

悲劇的だからこそ影響を与えたというのは、間違っていないと思います。
良くも悪くも感動を与えましたからね。

トラックバックありがとうございました。
Posted by 白くじら at 2012年01月28日 00:03
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Weblog: 子育て 時々 映画
Tracked: 2012-01-27 09:55
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