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2006年05月28日

ポセイドン・アドベンチャー

1972年(THE POSEIDON ADVENTURE)
監督:ロナルド・ニーム
製作:アーウィン・アレン
原作:ポール・ギャリコ
脚本:スターリング・シリファント
音楽:ジョン・ウィリアムス
ストーリー
自由だ。自分のやり方で神を見出す自由。

大晦日の夜、ニューヨークからアテネに向けて最後の航海になる老朽豪華客船ポセイドン号は、3日の遅れを取り戻すために船主代理人の命により全速で航海していました。先方での解体作業に待機させている作業員に毎日数千ドルの出費が必要になっていたのです。
バラストタンクが軽いままでの航海に一抹の不安があった船長(レスリー・ニールセン)の言葉も金主義の船主代理人には関係ありませんでした。
しかしその不安は最悪の状況で的中、地震観測所からクレタ島北西208キロの地点でM7.8の海底地震が起きたことが知らされます。そのために巨大なうねりが発生、ポセイドン号の左舷前から襲ってきました。

おりしも大食堂で新年パーティをしていた観客たちは、突然の警報に続く衝撃で大パニック。斜めになる床をすべる人、人、それは止まることなくポセイドンは完全に転覆してしまうのでした。

混乱が静まり、ようやく静かになった闇の中で立ち上がる者たちがいました。
生き残った人々はパーサの「救援がくる、動かないで」という声に安堵しますが、天井(床)に取り残されたスーザン(パメラ・スー・マーティン)、ボーイのエイカーズ(ロディ・マクドウォール)をスコット牧師(ジーン・ハックマン)の指示のもとみんなで協力し降ろしたりしている内に、雑貨屋のマーチン(レッド・バトンズ)が降ろすのではなくこちらから行った方かいいのではと提案します。
確かに転覆しているのだから救援は船底から来ることになります。スコット牧師はクリスマスツリーをエイカーズがいる場所に立てかけ上ることにしました。

この牧師の決断に賛同したのは、船が大好きな招待客ロビン(エリック・シーア)と姉のスーザン、老夫妻のマニー・ローゼン(ジャック・アルバートソン)と妻ベル(シェリー・ウィンタース)、マーティンと兄を失った歌手のノニー(キャロル・リンレー)、そして妻リンダ(ステラ・スティーヴンス)に言われていやいや従った警部補のロゴ(アーネスト・ボーグナイン)夫妻のわずか8人。残りの人たちはパーサの言葉を信じて動くことはありませんでした。
しかし彼らが上った直後、船体の爆発で食堂に海水が流れ込んできます。我先にツリーに登り始めた人々に耐え切れず倒れてしまうツリー、スコット牧師は悲痛な面持ちで扉を閉めるのでした。

船内に詳しいエイカーズとロビンの説明を元に、ほかよりは厚さが薄い(2.5cm)エンジン室のプロペラ軸へ向かうことにする一行。しかし普通なら簡単に行くことのできる場所でも今は上下逆、階段や部屋が彼らに行く手を阻み、さらに火災、下からの浸水が彼らに迫るのでした。

関連リンク
1972年「ポセイドン・アドベンチャー
1979年「ポセイドン・アドベンチャー2

映画レビュー
オススメ船のパニック映画も数あれど完全にひっくり返ってしまったのはこの作品と続編くらいなものでしょう(と言いたかったのですが、これまたリメイクの餌食になってしまいました。その名も「ポセイドン」だそうです)。
おかげでセットも全て逆に作らなければならなかったようで大変だったようです。
普段何気ないこの家もひっくり返ることを想像してみると、いきなり各部屋へ行くのに邪魔ものができることに驚きます。そう、ひっくり返った世界はある意味別世界になってしまうのです。このアイデアは秀逸ですね。
ゆっくりと沈みかけている船、そして目に見える速度で水位が上がっていくのも怖かったです。

みんなを引っ張っていくスコット神父は、牧師ではありながら型破りで聖職の特権を剥ぎ取られた現実主義な人です。
彼はなんでも神に頼ることをよしとせず、勇気をもって自分でできることは自力でやるという信念を持っています。そうすれば内なる神も一緒になってくれるという考えです。
そのために大食堂でパーサを救援を待つという言葉も、彼にとっては自分では何も努力をしないことになるのです。そういうことはキット我慢できないことだったのでしょうね。
そんな彼に付いて行く人たちも、しだいに彼に感化されていきます。残念ながら何人かは事故やその努力のために命を失ってしまいますが(ベルが初めてみせた勇気の結果にはもう涙でした)、こういうヒューマンドラマも各人の心情がよく描かれていてよかったと思います。

このドラマの中で忘れていけないのはアーネスト・ボーグナインが演じていた警部補ロゴ、彼は人から押し付けられるのが嫌いで、終始スコット牧師と言い争っていました。牧師曰く「この多数決バカ」。
物事を決定する場合、必ずしも大勢の意見が正しいとは限らないこと、何でも小さなことでもいい、考える価値があればそれに向かって努力をすべきでしょう。そう、ベルのペンダントに刻まれていたとおり「人生は常に意義のあるもの」なのだから…悔いのないように自分の意見を大事にしなければなりません。

【一言いいたいコーナー】
・これには続編「ポセイドン・アドベンチャー2」が作られてしまいました。テリー・サバラスの出演でポセイドン号に積まれていたという、プルトニウム回収の物語になっています。すでに転覆している船、生き残りはいましたがパニック映画ともいえず、大いなる駄作となったような気がします。そもそも穴開いてるからすぐに沈みそう。(^^;コレクションしていたと思ったのですがなかったのでレビューはまたの機会にさせていただきます。でもレンタル屋にもなかったんですよね。

TRACKBACK
リメイク版ですがポセイドンつながりということで、
肉球シネマブログ(アニーさん)の「【 ポセイドン 】
レンタル放題。(はちさん)の「○「ポセイドン」
忘却エンドロール(宵乃さん)の「映画「ポセイドン・アドベンチャー」観ました
或る日の出来事(ボー・BJ・ジングルズさん)の「「ポセイドン・アドベンチャー」
ラベル:映画 DVD パニック
posted by 白くじら at 07:12| Comment(10) | TrackBack(4) | アドベンチャー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんにちはー!

ポセイドン・アドベンチャー。
忘れていた部分が結構ありました(^^;
結構奥深い内容があったのですねー・・・
Posted by 葉山猫 at 2006年05月28日 10:58
こんばんは、葉山猫さん。

昔観たときには、パニック状態にあっけにとられていたのですが、改めて観るといろいろと細かい設定などがきちんとあって、さすがは名作の名に恥じない作りになっていました。
Posted by 白くじら at 2006年05月28日 21:21
リメイク、「ポセイドン」今日見ました〜

元祖の方を、あんまり覚えてなのですが、面白かった記憶があります・・リメイクの方、映像面では迫力ありましたが内容は、重視されてなかったみたい(汗)

何か、印象が薄い・・・記憶に残らない作りになっちゃってましたよ〜

新旧ポセイドンって事でトラバさせてください〜
Posted by アニー at 2006年10月06日 15:45
こんばんは、アニーさん。

まだ出たばかりなのに観るの早いですねぇ。
うーん、ドラマではなく映像面の強化でしたか。最近はCGなどで映像が凄ければいい…というような映画も多いですからねぇ。
やはり心に残るストーリーがあって、初めて思い出として蘇る名作となるので派手さだけでは微妙ですね。

トラックバックありがとうございました。
あとで観に行きますね。
Posted by 白くじら at 2006年10月06日 23:55
こんにちは〜^^
僕も新作の方ですいません;

新作の方は、人間ドラマは圧倒的に希薄でしたね。
比べ物にはならないと思います。

一方、映像的な描写、特に転覆シーンなどは新作は凄まじいものがありました。
内容的にも緊張感あり、ダイナミズムありのアクションの連続で、これはこれで成立しているように思いました。
「エイリアン2」のパターンだと思います^^
Posted by はち at 2006年10月31日 09:39
こんばんは、はちさん。

やっぱりアクション映画として観た方がいいみたいですね。
どんな転覆シーンなのか、今のCG技術を観たいですねぇ。
ふむふむ、緊迫感もありましたか。

トラックバックありがとうございました。
こちらからも行っておきます。
Posted by 白くじら at 2006年10月31日 23:04
こんにちは!
この作品は小さい頃から何度も観ていて、この前やっと字幕の完全版を観られました。観る度に泣けるタイミングが早まりますね、もう今回はロゴとリンダの登場シーンから泣けてきてしまって(笑)
牧師の師匠みたいなひとが、「彼らを置いていけない」と残ったシーンでもウルウル。ベルにいたっては、これでもかというくらい何度も泣けました。

>セットも全て逆に作らなければならなかったようで大変だったようです。

そういえば全部サカサマに作ってるんですよね〜。そこまで思い至らなかったです。一度でいいから、このセットを歩き回ってみたいなぁ!
Posted by 宵乃 at 2012年06月15日 14:43
こんにちは、宵乃さん。

私もこの作品は昔から観ていた作品でした。
どうしても2回目以降は、亡くなってしまう人がわかっているので、よけいにその人たちのことを見てしまい、最期のシーンがダブってしまいますよね。
やっぱりベルさんのシーンは本当に泣けます。T T

セットがさかさまで大変だったことは、何かに載っていましたよ。
さかさまになっただけで、移動するだけでも大変になるということは、発想の勝利ですね。

トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。
Posted by 白くじら at 2012年06月24日 14:30
亡くなってしまう人すら、半分は覚えていなかったボーです。こんにちは。
船底が軽いとか、ちゃんと説明をしているところ(伏線?)が素晴らしいです。
大波が来て、船を直角に持っていこうとしたけど間に合わず…なんでしょうね。
「タイタニック」などを思い出してみましたが、あれは、逆さまにはならず沈没していったので、セットは逆さまじゃなかった…。
テーブルが固定されていたり、トイレのシーンでは逆さまヴィジュアルが生きていました。

書いた記事には「ポセイドン」のリンクもありますので、よろしければ。
Posted by ボー at 2016年09月06日 07:26
こんばんは、ボーさん。遅くなりました。(_ _)

これは何度も観直している作品なので、小鳥頭な私でもまだ結構覚えているほどの名作です。(^^)

結局、船はまともに横波を食らっていましたね。
船は元々揺れるものですから、テーブルとかは固定されているものなのでしょうね。最近は船に乗っていないですけど、乗った時には確認しておきたいですね。

タイタニックもあのほとんど90度にせりあがるのは凄かったですね。
パニックモノはやっぱりこうなってからが面白いですけど、タイタニックはそこまでが長すぎ。(@@;;;

トラックバックもありがとうございました。(^^)/
Posted by 白くじら at 2016年09月17日 20:37
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