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2006年06月10日

あらしのよるに

あらしのよるに スタンダード・エディション2005年
製作国:日本
監督:杉井ギサブロー
製作:近藤邦勝
原作:きむらゆういちの「あらしのよるに」
脚本:杉井ギサブロー、きむらゆういち
音楽:篠原敬介、主題歌「スター」:aiko

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ストーリー
私たちってホントによく似ていると思いませんか?

ヤギの親子がオオカミの群れに襲われました。ヤギの母親は子供を逃がすために戦い、ボスの耳を食いちぎるのですが、無残にも食べられてしまいます。必死に逃げて助かった子ヤギの名はメイ…。

年は流れメイは仲間たちと暮らしていました。
ある日のこと…嵐が近づき、仲間たちとはぐれたメイ(声:成宮寛貴)はただ1匹、空き家に逃げ込みます。
真っ暗な空き家で震える彼は続いて入ってきた動物に気がつきます。両者とも鼻風邪で鼻が効かず、眼も見えない状態のため、何者なのかはもとより、どんな姿なのかも判らない状態でした。
それでも会話をしている内に、二匹は同じような境遇にいることを知り意気投合するのでした。そして明日、またこの小屋の前で会うことを約束して判れるのでした。その合言葉は、

「あらしのよるに」

次の日、お弁当をもったメイは楽しそうに小屋の前に行くのでした。しかし、そこに姿を現わしたのは同じようにお弁当を持ったオオカミのガブ(声:中村獅堂)だったのです。
大慌ての2匹でしたがそれでも約束どおりお弁当を食べるために山を登る2匹…欲望を抑えながらも歩くガブ、そう、彼らはすでに昨日から友達になっていたのです。それは仲間には絶対に言えない秘密の友達でした。

しかし、やがてそのことは仲間たちの耳に入ることとなり、それぞれ、長老(声:坂東英二)、ボスであるギロ(声:竹内力)に激しく叱責されます。さして2匹はお互いの情報を探るために、会うことを許されるのでしたが…。

映画レビュー
オススメ弱肉強食、食物連鎖の中のオオカミ:カブとヤギ:メイ。彼らは食べるものと食べられるものでありながら、「あらしのよる」に友達になりました。それはほかの仲間から考えると、いやその世界に生きる生きとし生けるものから見ると異端児にほかなりません。
初めてで会ったときにもっと大変なことになるのかと思ったのですが、意外と簡単にこの現実を受け入れたのにはびっくり、本人たちも「びっくりしましたよ」だけで済ます辺り…こういうところからも2匹はかなり特別であったようにも思えます。
作中、オオカミたちは本当に恐ろしい描かれ方をしているために、いっそうこの関係が強められてしまいます。
何はともあれ、こうして出会いを繰り返しているうちに、2匹、特にガブにとってメイというヤギはヤギの肉が大好物以上に、メイと出会っておしゃべりをすることの方が大好きになっていくのでした。

しかし物語は、あくまでも食物連鎖の掟を突きつけてきます。
双方の群れに居場所が無くなった2匹は、平和に暮らせる新天地を求めて旅立ちます。極寒の地で動けなくなるメイが出す一つ答え…それは私がもっとも恐れていた回答でしたが、物語はそれを覆し素晴らしいラストへと続きます。それは本来ありえないことかも知れませんが、彼らだけの愛(友情)の形がそこには必ずあるのです。

私は原作を読んでいなかったので、「あらしのよる」だけの物語かと思っていて、どう話が続いていくのかと思っていたのですが、それは合言葉となり、メイとカブの友情を育んでいく物語へと続いていきました。
原作では雪山のシーン(6巻)でいったん終わったそうですが、読者からの「続きは?」という声によって今回のラスト(7巻)をもって完結となったそうです。
観てみると「あらしのよる」はラストのシーンをもってようやく夜が明けたかのようでした。そう、そこまでの長い道のりこそが「あらしのよる」と思えてなりません。

【一言いいたいコーナー】
・メイの後姿、お尻に食欲を感じるガブ。このお尻はモンローウォークからきているそうです(注:メイはオスです)。
・メイのお母さんがギロの左耳を食いちぎったのは凄い。しかしそれを知っているおばあちゃんはもっと凄い(あの状況でいったいどこに…)。
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子育て 時々 映画(マミイさん)の「異種族間の友情
 
ラベル:映画 アニメ
posted by 白くじら at 12:29| Comment(4) | TrackBack(1) | アニメーション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TBありがとうございました。

いいお話ですよね。
途中でくじけて友達を食べそうになってしまいながらも
必死に我慢するガブが健気でした。

映画のメイは外見がとてもキュートで
メスみたいですよね。
原作の絵を見るとギャップに驚いてしまいます。
モンローウォークもよくお似合い!(笑)

フツウの草原で出会っていたら餌と捕食者の関係だったのに
嵐の夜に暗闇で出会ったからこそ
真の姿に共感して友情が芽生える・・・
現実世界でも既成概念をとっぱらって
相手をみつめる事が大事なのかもしれませんね。

こちらからもTBお願いいたします。
Posted by マミイ at 2007年07月23日 11:15
こんばんは、マミイさん。

ガブは基本的には肉食だったようですが、友情がその感情を上回っていたようですね。
メイは絶対にメスだと思っていました。(^^;

原作は表紙しか観たことがないのですが、かなり表情が、というよりも描き方そのものがずいぶんと違っていて、よくこういうキャラになったものだと改めて思ってしまいます。

現実世界でも闇の中でしばらく暮らしていくと、内面がよく判っていいのかも知れませんね。
なかなか難しい問題です。

トラックバックありがとうございました。
Posted by 白くじら at 2007年07月23日 22:06
こんにちは。わたしも昔の記事にお邪魔させていただきま〜す!
この作品は涙腺ゆるみますよね。一部の方にはホモっぽいと嫌われているようですが・・・確かに川に飛び込むシーンは悲恋っぽかったですけど・・・あの絆の強さは感動に値するんじゃないかと。

>2匹はかなり特別であったようにも思えます。

かなり楽天的で素直な性格でしたね。
ガブのほうは、他の狼たちと同じ生き物とは思えませんでしたし(笑)
友情ものは好きなので、一気に観れた作品でした。

それと、この間は拍手コメントと非公開コメントありがとうございました。
なんとなくアリスが好きなんで、そのうちチシャ猫とかも描くつもりです。
あと、チャットはやったことがないので触ってませんが、時々のぞいてみますね〜。
Posted by 宵乃 at 2010年05月14日 11:11
こんばんは、宵乃さん。
昔の記事ヘの突撃、ありがとうございます。(^^)

これは感動を与えてくれたいい作品でした。
音楽も大好きで、未だにシャッフルで聞いています。2005年の作品だというのに…。

メイはかなり長い間メスだとばかり…ふつうこういうのってオス、メスだと思うのですが。真実(?)を知ったときには驚きました。
まぁ、2匹は同族の中でもかなり特別のような感じでしたが、それだけにラスト近くでカブが狼の本性を見せたときにはドキッとしてしまいました。恐かったですねぇ。

やっぱり宵乃さんのイラストだったのですね。
チシャ猫が見れるのも楽しみです。
チャットも結局はコメントの応酬ですが、1行コメントで、書いたものがすぐに相手に反映されるので会話しているような感じになるだけですよ。miriさんと一緒にいらっしゃると会話もしやすいかと思いますよ。(^^)
Posted by 白くじら at 2010年05月14日 23:21
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Excerpt: by Seesaaショッピングあらしのよるに スタンダード・エディショ..¥あらしのよるに 製作2005年 日本 監督:杉井ギサブロー 声:中村獅童、成宮博貴 絵本の映画化ですね。 一応、うちには..
Weblog: 子育て 時々 映画
Tracked: 2007-07-23 11:16
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