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2006年07月14日

野性の証明


野性の証明1978年
製作国:日本
監督:佐藤純彌
製作:角川春樹、坂上順、サイモン・ツェー、松田文夫

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ストーリー
男は誰もみな、無口な戦士、笑って死ねる人生…。

1980年、フーバー米大使の家に立てこもったテロリストを瞬く間に一掃したのは自衛隊の中でも極秘に組織された特殊工作隊でした。彼らは極限まで身体を鍛え日夜国家のために戦うのです。そして今回味沢(高倉健)たちが送り込まれたサバイバル特訓では東北山中を3日間の食料で何日かかろうと目的地まで帰還するという過酷な訓練でした。もちろん一般人との接触はあってはならないことでした。

山中にハイキングに来ていた越智美佐子(中野良子)は、極限まで疲労しきっている味沢に出会い、助けを呼びに近くの部落へ行きました。しかしそこで起こった大量殺人事件!
彼女も巻き込まれ、唯一の生き残りは13歳になる長井頼子(薬師丸ひろ子)だけ…しかも目の前で父親を殺されたというショックが彼女を記憶喪失にしてしまっていました。口をつくのは「青い服の男の人が…」。

1年後、未だ記憶の戻らない頼子は、除隊してしがない保険員になっていた味沢に引き取られ、羽代市で親子として生活をしていました。
羽代市では大場総業に半ば支配されているといってもおかしくない状態で、今日もまたその秘密にふれた男立川が事故として殺されていました。
新聞記者の越智朋子(中野良子)はその事件の真相を突き止めるために動き、味沢もまた保険金の問題から事件を調べている内に二人は出会います。偶然にも越智朋子はあの1年前の事件に巻き込まれた女性の妹だったのです。そして味沢を犯人だと決め付けている北野刑事(夏八木勲)が彼ら、そして大場の配下の井崎(梅宮辰夫)を脅かします。

やがて秘密を知りすぎた朋子は殺されてしまい、頼子の予知能力で逃げ出した味沢たちにも彼らの手が…助けに来た北野から手渡された斧で、ヤクザたちを叩きのめす味沢の姿をあの事件と被らせた頼子に、ついに記憶がよみがえります。
「お父さんを殺したのはこの人」風土病で村人を手にかけた父親、そして彼女までをも殺そうとした父を殺した味沢でしたが声1つなく、北野に護送される味沢。
しかし自衛隊が一般市民を手にかけたことを明るみに出してはいけないという上の判断から、途中彼らは特殊工作隊に拉致され、演習を利用して殺されることになります。
拉致した隊員を倒し自由になった味沢、北野、頼子の3人の生き延びる道は3つ。演習が終わる日まで隠れる、演習エリアから逃げ出す、そして今ヘリから降りてくる特殊工作隊22名を倒すこと!
特殊工作隊随一の腕を持つ味沢とはいえ素人2人を守りながらの脱出行は困難を極め、負傷していく2人、北野も戦車から彼らを守るために…そしてヘリからの銃撃を受けている時、味沢を呼ぶ搾り出すような頼子の叫びが…!

映画レビュー
オススメ1978年、佐藤純彌監督、薬師丸ひろ子鮮烈なるデビュー作です。
森村誠一「人間の証明」に続くベストセラーの映画化です。結構エグイシーンが多く、あまり子供には観せられないかも知れません。
最初の事件が唐突に起こるので、実際に誰が犯人なのか判らないようにしています。つまり北野刑事の立場でしょうか、徐々に判っていくところはいいですね、ちょっと警察で真犯人がぽろって出ますが。(^^;
序盤は人間関係などを深く掘り下げているので少々退屈しそうですが、やっぱり盛り上がりは対特殊工作隊戦でしょうか、ホントに自衛隊が怖くなってしまいました。これは攻撃力というよりもその組織についてです。

人間として生きることって何でしょう。
この映画では「男は強くなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない」というキャッチが使われていましたが、ここに登場する悪はあまりにも巨大でした。それでも頼子たちを守るためについに立ち上がった味沢は、拳銃1つでも巨大な敵に立ち向かわなければなりませんでした。
それは人の尊厳を持った人のみの行動であり、このシーンを観て震え上がり感動してしまうのは自分がそういうことをしようと思ってもできないから…抵抗むなしく死んでいく人も多い作品ですが、死んだからといって彼らの行動が間違っていたわけではないと思います。
自分の出来る範囲からでも生きていかなければ…。
頼子の「おとうさーん」の声がいつまでも頭に残る作品でした。

北野刑事の問題点
1、堤防でヤクザと味沢、朋子の攻防中、彼はしばらく見守っていました。しかも味沢が孤軍奮闘して多勢にシャベルカーを動かし始めた時、飛び出そうとした朋子を止め「あいつが何をする男か見るんだ!」…じゃなくって警察でしょ、早く止めてください!
2、ヤクザとの戦いの時、木刀(棍棒?)を持って戦っていたときに「味沢!」と言って投げたのは斧!その結果味沢は斧で奮闘した挙句頼子に「お父さんを殺したのは…」と言われてしまいますが…その後北野刑事は「何か言うことはあるか!」…ある、あるぞー、あんたが斧を渡したんだ!!(父親殺しに対してなんでしょうけど、あまりのことにツッコミたい!)

【一言いいたいコーナー】
・ラストで戦車と歩兵の部隊に拳銃1つで飛び込むシーンにはぐっと来たのですが、その後あれ逃げてる…とずーと思っていたのです。今回観直してようやくあの逃げているシーンはカットシーンであることに気づきました。変だなっと思っていた気持ちが氷解してくれました。
・角川春樹氏も自衛隊の隊長として出演していました。
posted by 白くじら at 19:54| Comment(4) | TrackBack(0) | アクション | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
ああ〜・・
私、これで薬師丸ひろ子が大好きになってね、あの髪型真似たりしてね(~o~)
多分、映画女優さんでは初めて好きになった人かも?
これ以降の作品、続々とみたもの。

これストーリー的には難しかったかな?
何せ小学生・・(って年バレバレ)
でもエグいシーンとかあったですよね?
うんうん、頼子の『おとうさ〜ん』って叫んで撃たれるシーンと、高倉健が頼子を背負って歩き出すシーンに子供心に涙した記憶が・・

さすがに覚えてない事も多いんだけどもね♪

そういえば『人間の証明』も訳分からず観てたな〜・・
あの有名なセリフと音楽は今でもしっかり覚えてるって感じ?
Posted by ARIA at 2006年07月14日 21:53
こんにちは、ARIAさん。

薬師丸ひろ子はこの映画でブレイクして、次々と映画が作られましたね。デキはともかく。(^^;
私もまだ「若いころ」にこの作品を観たので、とにかく自衛隊は怖いというこのを刷り込まされてしまいました。
頭を斧で…とかエグイシーンも当時としてはびっくりでした。

あの最期での音楽はやっぱり脳裏に焼き付いていて、忘れん坊の私でもいまなお覚えております。
Posted by 白くじら at 2006年07月15日 13:35
僕はこの作品は大学生当時に初めて見たのですが、ずっと見たかった作品だったので大変感慨深かった記憶があります。

「誰かがお父さんを殺しにくるよ」的な衝撃的なセリフを織り交ぜたCMが大変印象的で、今でも忘れられない映画予告の一つです。
Posted by はち at 2006年07月15日 15:45
おはようございます、はちさん。

そうですね、このCMはかなり頭に残ってしまいました。
ということはCMとしても十分成功ということですね。
私は当時劇場にはいけなかったので、あとでビデオで観ることに…思い起こせば自分でビデオデッキを購入して(高かったー)、初めて観た映画でした。(^^;
Posted by 白くじら at 2006年07月16日 07:40
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