1978年(HEAVEN CAN WAIT) 製作国:アメリカ 監督:ウォーレン・ビーティ、バック・ヘンリー 製作総指揮:ハワード・W・コッチ Jr 製作:ウォーレン・ビーティ 脚本:エレイン・メイ 撮影:ウィリアム・A・フレイカー amazon.co.jpで詳細を見る。 |
アメリカンフットボールチーム・ロサンゼルス・ラムズのクォーター・バックを務めていたジョー・ペンドルトン(ウォーレン・ビューティ)は膝の故障に悩まされていました。しかしトレーナーのマックス(ジャック・ウォーデン)と共に努力のすえについに試合復帰が決まりました。喜び勇むジョーでしたが、その幸せもトンネルの中での交通事故でもろくも崩れます。
気がつくと白い靄が足元にたなびく場所を歩いていました。
そばにはスーツを来た男性(バック・ヘンリー)が…わけが判らずも歩き、やがてついたところはコンコルドのような飛行機に乗り込もうと、人々が列を作っている場所でした。男性の話によるとここは中継地で、あなたの理解できるイメージにしているのはここまでだと言い、さらにこの飛行機に乗れと言います。
どうやら天国に来てしまったのでは…と、さっさと家に帰りたいジョーは言い争いに…そこに姿を現した銀髪のスーツの男性、天使長ジョーダン(ジェームズ・メイスン)は事情を聞き再確認を命じます。
その結果ジョーはまだ50年の寿命が残っていることが判明します。つまりこの男性、新米天使はジョーが車に衝突する寸前に死ぬと思い、痛い思いをする前に魂を抜いてしまっていたのです!
間違いがわかった天使長は、天使にすぐさまジョーに体を返すようにいいますが、すでに彼の身体は火葬に…やむなく天使長がジョーを連れて別の身体(死が決まっている人間)を捜し歩くことになりました。
しかしフットボールができることに固執するジョーが気に入る身体はなかなか見つかりません。
やがて現れた最後の候補者、それはエクス産業の社長ファーンズワースの身体、ファーンズワースは彼の妻と妻の情夫であり秘書である男性に、麻酔薬を飲まされバスタブに沈み行くところでした。
こんな状況の社長などごめんだと叫ぶジョー、そのときファーンズワースを尋ねて一人の女性がやってきました。
彼女の名前はベティ(ジュリー・クリスティ)、エクス産業の工場が公害を撒き散らしていることに、抗議にやってきていたのです。
どうやらファーンズワースは血も涙もない冷徹な人物のようでした。秘書が邪険に彼女を扱う姿を見て、ジョーは彼女を救いたいと思わずつぶやき…天使長は「君が救えばいい」と告げます。
ジョーは「ちょっとだけ」という約束でファーンズワースの身体に入ることにしました。
この件をきっかけとしてジョー(まるで人が変ったようなファーンズワース)とベティは、次第に引かれ合うようになっていきます。そしてやっとの思いで別の身体を捜してきた天使にも、この身体でフットボールをするからもう別の身体はいらないと…しかしジョーがベティに結婚を申し込んだ日のこと…天使長が彼にファーンズワースの身体を使える時間はもうないと伝えます。そんなことは嫌だと突っぱねようとするジョー。
しかし天国が決めた時間は刻一刻と近付き、まだ彼の命を狙っていた秘書のライフルが火を吹くのでした…。
ウォーレン・ビューティが監督、製作、脚色、主演を務めた作品ですが、当初はそんなつもりはなかったようです。しかし予定していた監督がどうしても都合つかず自ら…そしてコメディに関してはセンスのよいバック・ヘンリーに委ねたのだそうです。
つまりこの作品は監督が2人、しかもその両者ともが作品にも出ているという面白い作品なのです。
またもとになった「幽霊紐育を歩く」での主人公はボクサー、ビューティは主役はモハメッド・アリに演じてもらおうとしたのですがこれまた時間がとれず自分が…でもボクサーの身体はないために、ボクサーからアメフト選手となったそうです。
この映画は何人も死ぬ人がいるわけですが、死体が出てこずコメディタッチになっているためか、さほど悲しくなくそのまま感情移入できます。
また乗り移ったときには天使長曰く「我々は魂で見ているので変りはないのだ」というように、私たちもファーンズワースに乗り移っているときも、ジョーとして見ていられます。そういうところも移入状態を持続させている演出の1つですね。
ラストであの状態になるにも関らずジョーとして見ているのも実は…ということなのでしょうか。
天使のミスで50年を生きるところをほかの人間で生きることになったにしては最後はなんとも物悲しい…しかしそれを救ってくれるベティの存在は大きく、涙を誘うラストシーンでした。
また影の立役者として忘れてはならないのがマックス役のジャック・ウォーデン。ジョーの友人として、人間側では唯一ファーンズワースがジョーであることを知り、親身になってくれます。ジョーにとってどれだけ気の休まる存在であったことか。ジャック・ウォーデンはこういう役がものすごく似合っていました。
しかし彼もまた本年7月19日に心臓と肝臓の傷害で亡くなりました。残念なことです。合掌。
本来はホラー特集には入れる予定ではなかったのですが、急遽追悼作品としてレビューしました。(_ _)
【一言いいたいコーナー】
・今までのファーンズワースの行動があまりにも冷酷だったのかもしれませんが、ジョーが乗り移ったファーンズワースに接する召使たちの行動が面白い…でも彼がいなくなってからの彼らの行動には悲しさが出ています。いい演出でした。
5011しねま・のーと(5011さん)の「追悼ジャック・ウォーデン」
映画鑑賞の記録(サイさん)の「(242) Heaven Can Wait (天国から来たチャンピオン)(2回目)1978・AMERICA」
忘却エンドロール(宵乃さん)の「映画「天国から来たチャンピオン」観ました」
この映画は脇役がみんな良かったですよね。
ジャック・ウォーデン以外にもダイアン・キャノンとチャールズ・グローディンの不倫カップルも笑わせてくれたし。
あとはデイブ・グルーシンの音楽も良かった。
主人公が下手なクラリネットを吹くんだけど、それを受けてテーマ音楽にもクラリネットがフィーチャーされてて。
のんびりとした音楽が映画とよくマッチしてました。
ホント、不倫カップルもよかったですが、あの執事たちもよかったですね。あのモノイレをまじめにノックして入ったりするところは執事の鑑でしょうか。(^^;
音楽もなんだかのんびりとしていましたが、これまた妙に作品とマッチしていましたね。いい感じでした。
主人公のサックスの下手さには閉口しますが、映画が終わることにはそれがまた聞きたくなってくるから不思議です。
実はこの映画には思い入れが強すぎて、長い間見ていなくて、内容等もおぼろげなのですが、今年DVDを購入したのですが、なかなか再見する気持ちにならなくて・・・。また再見出来たら、きっとコメント書かせて頂きますネ〜☆
この場を借りて・・・今年の夏から、映画好きのブロガーの皆さんと、同時期に同じ作品を鑑賞して、後で色々と言いあう(感想・レビューは強制ではありません)という会をしているのですが、もし良かったら来月からいかがでしょうか?
こちらをご覧になって下さいね〜☆ (11月6日にお誘いに参ります。作品名はまだナイショです。鑑賞日はその次の金・土・日です。)
http://saisenseisuki.blog97.fc2.com/blog-entry-401.html
どうぞよろしくお願いしま〜す♪
こちらでは初めまして、いらっしゃいませ。
わざわざありがとうございました。
思い入れが強そうですね。また落ち着いて再見されましたら、どうぞコメントにいらしてください。
同時期に同じ作品観賞と言うのは面白いですね。
上映中の作品や最近出たDVDなら同時期になることもあるのですが、最初から決められた作品を鑑賞するのは初めてですよ。
面白そうですし、せっかくのお誘いですし私も参加させていただきます。
私が観賞してレビューできる作品ならいいのですが。(^^;;
では、またよろしくお願いいたします。
ある切っ掛けがあって、思いがけずに早く再見出来ました。
感想です。
映画そのものと、映画を見た時の事、とはやっぱり違うんだと思いました。
若い時より、この映画の内容は「浅い」と感じました。
ラブコメというより、うーん、なんというか、割りと底の浅いお話で、映画そのものの評価としては、今の私的には低いです。
J・クリスティのために作った作品のような気もする。
J・メイスン、が良いと書いてあったけど、なんでそう思ったんだろう?と思います。(自分の昔の感想で)
あの二人が、あの短期間で、なんでそこまで思えたのか?不思議・・・まあ目を見るという事で、前世っぽいけど。
ジョーの記憶がなくなるのは、まあ当たり前的な感じで、控室に残ったコーチが心配でした。
ジョーは死んだけど、彼となって生きる、2025年、ってもうちょっとだけど、つまり、あれから約30年も生きてきたという事で・・・。
映画そのものは浅くても、色々なメッセージは盛りだくさんで、今後、きっと他の作品も再見できると自信がついて良かったです☆
以上長々とすみませんでした。
先日ご案内しました「ブログ DE ロードショー」を、開催しますので、お誘いに参りました。
作品名は 『ニューオーリンズ・トライアル』 (2003年/アメリカ/監督ゲイリー・フレダー)です。
今月から、ブロガーの皆さまに、この企画の作品を、選んでいただくことにしました。
まず最初の、この作品を選んでくださったのは、「そのスピードで」 の ケンさんです。
(ケンさんは、これまでに具体的な作品名を挙げて下さっていたので、トップバッターにお願いしました)
お選びになられた理由は
・傑作なのに案外知られていない
・日本の裁判員制度もはじまって、いまこそ観る価値がある
・ジョン・キューザック、レイチェル・ワイズ、ダスティン・ホフマン、ジーン・ハックマンと配役が豪華で、しかも皆気合いの入った演技をしている・・・など、との事です。
鑑賞日は11月13日(金)〜15日(土)の三日間です。(お忙しくてご都合の悪い場合は後日でも結構ですよ〜!)
是非、皆さんと、一緒の時期に、同じ映画を見て、ワイワイ言い合いたいと思います。
(感想・レビューは強制ではありませんが、作品を選んでくださった方には、必ず書いて頂きます)
もし良かったら、どなたかお誘いくださいね〜〜☆
長々と失礼しました〜!
お返事が遅くなり申し訳ございません。
>若い時より、この映画の内容は「浅い」と感じました
そうでしたか、それは残念です。
確かに若いときと今、それに今の精神状態など、映画を観るときの環境によって受け止められるものは変化するもので、私も今から観るとどう感じるかは判りませんが、最近の複雑な恋愛よりは、単純明快で楽しめるかと思います。なんだか最近、そういうストレートの方が感動していたりします。(^^)
思い入れが強すぎる作品は、観ていないときでもどんどん美化されてしまうのですから、当時と同じ思いで観ることは物凄く難しいと思います。
コーチがどうなってしまうのかは私も心配ですが…あのラストの二人から察するに、実はジョー(ファーンズワース)であることを知ることになるのかもしれませんがどうでしょう。
「ブログ DE ロードショー」には参加させていただきますよ。
『ニューオーリンズ・トライアル』はまだ未観でしたので、ちょうどよかったです。しかも豪華キャストですね!なぜか知らなかった私。楽しみです。
レンタル屋さんに確認しに行かないと。
では来週末、観賞することにいたします。
よろしくお願いいたします。
>思い入れが強すぎる作品は、観ていないときでもどんどん美化されてしまうのですから、当時と同じ思いで観ることは物凄く難しいと思います。
真剣なお返事を有難うございます☆ そうですね、仰る通りで・・・
多分、変わっていない私と、変わってしまった私と、そんなせめぎあいが、一番大きな要因のような気がします。うまく書けなくて・・・。
>あのラストの二人から察するに、実はジョー(ファーンズワース)であることを知ることになるのかもしれませんがどうでしょう。
私は「ラスト前からの人物は、ジョーではない」と思っています。
彼女は、彼の最後の言葉から“この人”と思うのですが、コーチには何のお知らせもなかったので、心配だったのです。
当人が、もう今は違う人なので、たましい自体が入れ替わったので・・・だから、本当は、ラスト前からは、ビーティではなく、違う俳優が演じなければならなかったのだと、そんな風に思ってしまったのです。
この映画は「人は今を生きるのだ」という事を、今の私に教えてくれました。
今後も再見したい作品がたくさんあるから、数が増えなくても、きっと大丈夫、そう思いました。
なんか、分かりにくかったらゴメンなさい!
でも、今回初めてです、「彼はジョーではない」と。
それでジョーはどうなったのか?というと、厳密に言うと、天国にいるわけで、その辺があやふやな終わり方になっていると、そんな風に思ったのも「浅い」と思った要因です。
とにかく昔は全然そう思わなかったのに、自分でもビックリしたんです!
確かにあのアメフト選手として蘇ったときには、全てを忘れていましたから「ジョーではない」雰囲気を醸し出していました。
コーチに対しても、本人は思っていないにしても冷たかったですし。
しかしラストであの一言が出たことは、彼がまだ完全に別人格になりきっていないのではないかと思いたいです。そしてそれだからこそ、ウォーレン・ビューティが演じたのではないかと思います。
>「人は今を生きるのだ」
人は今を生き抜いていかなければなりません。でも、それは今までの過去の積み重ねがあって、初めて今を生きれるのかもしれません。
最近、初めて観ました。いいですね〜、こういう作品は大好きです!
物置で”ひとり”で喋る主人をあたたかい目で見守ってる執事の人たちがホントいいですよね(笑)
犯人ふたり組みも面白かったし、唯一すべてを知る人間であるコーチとの友情も感動的でした。
帽子にこだわる変な刑事も面白かったです。
終盤で、天使が「記憶を消す」と宣告した時には、そうきたか!と驚かされました。
バッドエンドではないけど、ハッピーエンドとも言い切れない、そんな切ないラストが心に残ります。
お返事が大変遅くなり、申し訳ございません。
ようやくネット環境が整いました。
おお、初めての観賞でしたか。
作品自体はなんだかのんびりムードが漂っているのですが、なかなかどうして随所に気になるシーンが盛り込まれていましたね。
「記憶を消す」というシーンは「ええっ」となってしまいましたが、面影も残っているようですし、それを気付くベティの存在が大きかったと思います。
コーチもよかったです。あの落胆ぶりが悲しすぎます。
トラックバックもありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。