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そう遠くない未来…出生前の遺伝子操作が普通の出産となっている時代に、ビンセントは昔ながらの方法で生まれました。その結果、心臓疾患で推定30.2歳で死を迎えるだろうと告げられてしまいます。案の定、体が弱く不適格者の血は学校すら選ばれてしまうように…両親はビンセントのために兄を作ろうとしましたが、その方法は普通の出産。1/1000の傑作と呼ばれた兄アントンは、全てにおいてビンセントを上回り、よく2人で沖まで泳ぐ競争には勝ったことがありませんでした。
お前の能力には限りがある。
なんという残酷なる父親の言葉か。しかしビンセントはエリートである宇宙飛行士を目指します。適格者と不適格者の差別は行ってはいけないという法律はあるとはいうものの、実際に受かるためには血液検査があり、体の弱いビンセントよりも元気な人間は多く、結局は彼にとって不適格者という壁は大きく立ちはだかっていたのです。
ビンセントはアントンに最後の泳ぎの挑戦をし、奇跡的に勝った日、家から姿を消しました。
宇宙飛行士をあきらめないビンセント(イーサン・ホーク)は、強硬手段をとることにし、海外で事故を起こした水泳界のスーパースターのジェローム・モロー(ジュード・ロウ)の血液や指紋を買い取ることによって彼に成りすまし、宇宙局のガタカへ入ることにするのでした。
しかし宇宙へ旅立つ一週間前、局内で上司が殺されるという事件が起こってしまい、近くに落ちていたまつ毛から不適格者が犯人と推測されてしまいます。
ビンセントと彼に恋心を抱いているアイリーン(ユマ・サーマン)、そして今や警察局に勤めていたアントン(ローレン・ディーン)は…。


ガタカは、そのタイトルと雰囲気で難しく思ってしまっていて、存在は知っていたのですが、手にとっては棚に戻し、手にとっては…と今まで観ていなかったので丁度いい機会となりました。なにげにこの企画ってそういうところがあってポン♪と肩を押してくれて、いい作品に巡り合ったりしています。
今回も宵乃さん、ありがとうございました。
さて、まずこのタイトルの名前ですが、作中では宇宙局の名前になっているだけですが、どうやら遺伝子の基本塩基の「Guanine(グアニン)」「Adenine(アデニン)」「Thymine(チミン)」「Cytosine(シトシン)」の頭文字を複数とったアナグラムのようです。このアルファベットはタイトルやエンドロールの人名とNASAで強調されていました。結構、雰囲気良いですね。
この世界では毛髪1本からでも、簡単に有能性が調べられるのが恐ろしい。生まれたときと同様に暴力性、心臓疾患どが確率で表示され、それが面接であったりもします。
成りすまそうという人間も当然出てくるためか、宇宙局は毎日のように血液検査が行われ、ビンセントは成りすますために人口皮膚や血液、体毛、尿などを定期的にジェロームから提供してもらうことになります。こういう化かしあいは作中何度もありますが、その検査と検査をクリアしていく過程はとても面白い。
しかしこの作品ではそういう部分以外に、人間ドラマの方に重きを置いているように感じました。
作中でも法律的には差別はないとは言いましたが、やはり適格者と不適格者の差は大きい。会社などにとって人を採用する上において有能な人間を取ることは当たり前であり、その判別基準が適格者となるのは必然のことでしょう。これは今の世の中でも高卒、大卒、大卒の中でも大学名と、人を選ぶときの判断基準の一つになっていることは多いです(高卒が悪いというわけではなく、単純に判断基準として)。
不適格者であるビンセントの苦悩がよく現されていましたが、それと同時に同じような悩みを抱えているヒロイン、そしてエリートであるはずが事故により道から外れてしまったジェロームが生きるために取った手段が絡み合い、この世界で生きるための自分自身を知る内容でもありました。
ビンセントとジェロームはまるで影と光…しかし、どちらがそうであったのか。
ラストのジェロームは全てをビンセントに託して、もしくは自分も一緒に旅立ちますが、ビンセントに残された時間は果たして…。

・やはり化かしあいかな。こういう部分は面白いですね。冒頭とラストで落ちるのは爪ですよね。毎日切るようなものではないと思いますけどね。それにしてもデータによる判断だけで、顔で認識していないというのも凄い。実際外に飲みに行ったときには驚きました。
・ジュード・ロウ…なんだか見ただけでエリートって雰囲気をもっているのは流石です。
・局の医者がなんだかいい。彼の努力を知っていたわずかな人間なのかも。
・結婚相手を調べているのが印象的。当然でしょうけど、相手の髪の毛で将来性というかなんというか、いろいろとわかってしまうのは怖いことですねぇ。しかし、こういう部分や、局の入り口で毎回血液チェックをしているということは、こういう成りすまし人間は多いのでしょうか。ラストの宇宙飛行士たちもビンセントのような人間がほかにもいるのかも知れません。ちょっと怖いぞ。まぁ、それにしちゃ、検査方法は結構甘かったりするんですけど、こういうところが良くも悪くも矛盾点かな。
・なにげに不適格者であっても予測を凌駕していたり、適格者でもとんでもないことを仕出かす人がいて、当てにならないところもあるなぁと思う反面、努力すれば覆させられる点もありますね。
・映像美に優れているシーンが多々あります。
【ここは問題かな?】
・生まれたばかりの子供の親に死亡推定年齢を言うのってあんまりだと思います。
・なにげに努力をして宇宙飛行士の道を掴んだことはあまり語られておらず、見かけ上はジェロームなので奇跡でもなんでもなく当然の結果なのですが、実際の体力や頭脳はビンセントのままなので相当の努力の結果だと思います。そういう部分がほとんど終わっていて、ばれないようにしているところが強調されているきらいはあります。もう少しあってもよかったかなとは思いました。
・上司の死による謎解きサスペンス要素はあまりありません。この作品は登場人物が少ないので容疑者が2名ほどに絞られるんですよね。しかし適格者であってもコレでは…適格者の優位性もどうなの?と考えさせられますね。
・どうみても宇宙パイロットの服装ではないんですけど。(^^; さすが未来だ。
・これだけ科学が進んでいても、ジェロームの足は治せなかったのか。
・意外と宇宙飛行士になる夢、この時代に両親がどうして普通以外の生み方をしたのかの理由が希薄すぎ。
【一言いいたいコーナー】
・実際に彼が宇宙に行った場合、ほかの人間に迷惑をかけるのでは?本来いける人間を邪魔しているのでは?という意見もあるようですけど、それを不適格者だから行かすなということこそ、彼を差別していることに他ならないのではと思います。彼が迷惑をかけるなど誰が決めつけているのでしょうか。迷惑をかける確率なんて多かれ少なかれ誰にでもあるというのに。
・作中、不適格者を「神の子」と呼ぶシーンがありました。「神の子」とは欠点があり、欠点を補うために努力することが神の教えということかな。
・チョイ役…でもないけどアーネスト・ボーグナインが出てました。(^^)/


忘却エンドロール(宵乃さん)の「映画「ガタカ」観ました」
子育て 時々 映画(マミイさん)の「勝手に決めるな!」
パパがんばって(^^)/(かえるままさん)の「ブログdeロードショー「ガタカ」」
夜更けの自販機(|―|/‐\|\/|さん)の「ブログDEロードショー : ガタカ (1997) -GATTACA-」
嗚呼,魅惑の映画道+レンタルDVD(hiroさん)の「マイノリティーの生き様 ガタカ 2008 075」
サラウンドに嵌った男のブログ(taka51さん)の「「ガタカ」を見ました!!」
chick♪ tack♪ movie blog(clockdileさん)の「優生世界への挑戦 ガタカ」
miaのmovie★DIARY(mia☆miaさん)の「ガタカ」
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【関連する記事】
4文字が強調されるオープニングやエンドロールっておもしろかったですね。
「A」があるからかもしれませんが、案外どの人にも入っているんだなぁと感心しました。
>局の入り口で毎回血液チェックをしているということは、こういう成りすまし人間は多いのでしょうか。
私は現在でいうところの通行証みたいな簡単なチェックかなと思いました。
これならカード忘れた!なんてことなくなりますからね。笑
どれだけDNAが優秀だとしても、
結局は本人の努力次第で人生はどうにでもなる
・・・・というか、なってほしいですよね!
過去記事の追記ですが、トラックバック送りますね。
4文字強調って出だしからいいですね。
なにげに強調されている人って適格者なのかなって思ったり。(^^)
うんうん、私も通行証代りだなと思いました。一番的確なのかも知れませんけど、毎日チクッは嫌だなぁ。毎日髪の毛抜かれたり、舐めるのも嫌ですけど。体表は汗ばむものなので掌だけでなんとかしてほしい。
DNAは素質には関係ありますけど、その後の努力はやっぱり大事ですね。
適格者の中でも結局は役職につくためには努力していたりしてますし。
トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。
Σ(゚Д゚ υ)
もう、レビューをアップしていいんですか!?
月曜日以降じゃないとダメかと思ってました。
それと、微妙にチケット変わってますね?古いの頂いてますが、宜しいですか?
お二人の合作なんですね?
いつも、とっても素敵なチケットだな〜って思ってます。
早速今日中に見ます。
レビューは観終わったらどんどん上げちゃっていいですよ。(^^)
まぁ観る日が決められているので、早くても金曜日になっちゃいますけどね。
チケットは今回の宵乃さんのレビューで新画像が貼られていて、こっちの方が明るくて希望が持てるこの映画にぴったりだと思って作り直しました。
どうぞ、お持ち帰りください。
って…はっ、宵乃さんに許可取ってなかった!あとで書きに行っておきます。
またレビュー、お待ちいたします。(^^)/
確かに、毎日チクっとやられるのは嫌ですよね。網膜、声紋認証だけでもじゅうぶんでしょうし。それに、ガタカに入るまでの努力の過程が省かれてしまったのも、仰るとおり残念なところでした。
努力だけではどうにもならない事もありますが、それでもそれをしなければ生きているとは言えないんでしょうね。ヴィンセントが無事帰ってこれるかも怪しいけれど、本人的には充実した人生だったでしょう。他の宇宙飛行士に迷惑かけてなければいいけど・・・。
観て下さってありがとうございました〜。
チクッは嫌ですねぇ。(^^;
確か息の中には唾液が含まれているはずなので、何かにふっと息を吹きかけるのでは判定できそう。
実際にはかなり努力していたと思うんですけど、これはもう想像するしかないですね。でもトップクラスになってはいたのでかなりの努力が必要だったでしょう。
その後、他の宇宙飛行士に迷惑をかける件ですが…。
私もそれは考えましたが、考えること自体、彼の不適格者の欠点を認めることになるので、あえてたとえどこかの時点で倒れたとしても、それはほかの適格者にも言えることでもありますし、今の彼の能力であれば倒れるまでにその後を補えるだけの仕事をしているに違いないと考えることにしました。
体が悪いから、もう死んじゃうから仕事をさせないなんて悲劇ですよね。
だから…いいんですよ。先のことは誰にもわかんないんですから。(^^)
いろいろとツッ込むところはありましたけど、総合的にはいい作品だったと思います。それに後でいろいろと考えさせられる作品って好きです。
トラックバックありがとうございました。
白くじらさん、あらすじが、とても分かりやすいですね。
皆さんの鋭い観察眼に感心しておりました。
すみません「リアル・スティール」を鑑賞に行っていたので返事が遅れました。
ありがとうございます。
粗筋は本来書かなくてもいいのですが、小鳥頭な私なので、書いておかないと「すっかり」忘れてしまうんです。(^^;
それに映画サイトの粗筋は間違っていることもありますからね。自分で書いておくに越したことはありません。
トラックバックさせていただきました。
キャラクターや人間ドラマの深さもいいんですよね〜…
イーサン、ジュード、ユマと、他の映画にはなかなか無い
独特の雰囲気が漂っていました。。
各所がSFに満ちた作品でしたね。
映像美も各所にあって、DNAを扱ったSFの中では秀逸な作品だったと思います。
静かな雰囲気でしたが、宇宙飛行士の話なのにスーツ姿で通しているのは、かなり独特な作品だったと思います。(^^)
色々な人の意見を読んでいるうちに、宇宙に飛び立ってからヴィンセントが地球を恋しく思ったのは、自分ひとりが夢を叶えても虚しいと気づいたからだという考えに落ち着きました。あの瞬間、自分が無事任務を成功させて、地球に帰ってから真実を世間に広め、人々の目を覚ますのが、彼の新たな夢になったんじゃないかと。
彼の発作もわたしの思い込みでそう見えたのかもしれないし、ヴィンセントについてはほぼポジティブに捉えられるようになりましたよ!
やっぱりこの企画は素晴らしいですね♪
今回の「ガタカ」は私もいろいろと考えることが多く、レビューも若干書き直したり追加したりもしました。
なんだかんだありましたけど、ビンセントにはしっかり1年後に貢献して戻ってきてほしいものです。
あまり映画観てストレス貯めたり暗くなったりしたくないので、ポジティブに考えるのは素晴らしいことですよ。(^^)
なんといいますか、考えさせられるSFでした。
正直、ヒューマンドラマっぽいのですが
システムはデジタル化されても、にんげんの心は
まだアナログの部分も残っているのが、ホッとさせられるような。
見解は色々でしょうが雰囲気や質感は好みの作品です。
ですねぇ、今回は私もいろいろと考えさせられました。
結構この作品って、肝心なところがすっぽりと抜けている感じで、おそらくみなさんそこを脳内補完しているんじゃないでしょうか。(^^)
確かにかなり機械的に処理されているような感じでしたが、検査などは実にアナログな部分も多かったですね。だからこそ穴も多かったんでしょうけど。
適格者であっても人間的な部分も多かったことがよかったです。
考えてみれば、適格者なんだからそういう優しさの部分も多いんじゃないのかな(もっとも社会に必要な能力だけがあればいいともとれますけど)。
トラックバックありがとうございました。
やっと見ることが出来ました!!
面白い映画でしたね!
僕も白くじらさんと同じく、アーネストボーグナインが
出てたのが嬉しかった人です!!エアーウルフが大好きだったんで!!(^^♪
白くじらさんが「宇宙パイロットの服装じゃない」という
つっこみがありましたが、僕は未来に走ってる車か??
と思っちゃいました(^▽^;)
けど、動力は電気みたいな感じでしたね??(笑)
映画を見るまで皆さんの記事を見ないように
してましたので、今から巡回です!!また色んな感想が
見れるのが楽しみです(^^♪
トラックバックをさせて頂きましたので〜♪
おつかれさまです。(^^)
アーネスト・ボーグナインには驚きましたね。予期していない時に、知っている顔を見ると嬉しくなってしまいます。
当時の想像ではそういう未来だったのでしょうけど、なかなかシュールだったと思います。
今回の作品ではいろいろな意見があって面白かったですよ。
トラックバックありがとうございました。
こちらからもさせていただきました。
ユーモアあふれるサイト名に惹かれてこちらのページを開かせていただきました。
あらすじも簡潔で、細部まで解説されている実に素晴らしい映画評だと思います。
勝手ではありますがトラックバックをさせていただきました。
初めまして、お返事が大変遅くなり申し訳ありませんでした。
サイト名を気に入られたようで嬉しいです。
この作品はいろいろと考えれば考えるほど深みにはまりそうな作品だったと思います。
トラックバックもありがとうございました。
こちらからもさせて頂きます。
夢と希望を与えてくれる良い作品でした。
人造人間並みの相手たちを出し抜き渡り合うんですもん。
並大抵の努力じゃ成し遂げられないですよね。
ジェロームの最期は印象的でした。
ヴィンセントと一緒に宇宙に飛び立つ気分だったでしょうね。
また数年後再見したい映画です('ω')ノ
やっぱり努力は報われて欲しいですよね。特に並大抵の努力ではなかったと思いますし。
そんなビンセントを見守っていたジェロームの心境やいかに。
想いは一緒に飛び立っていったと思います。
最後はなんとも言えず。(_ _)
トラックバックありがとうございました。