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食堂コックのフランク(レイン・ウィルソン)が生涯でもっとも幸せと思った事はサラ(リヴ・タイラー)と結婚した事、警官に賊の逃げた先を教えてお礼を言われた事でした。その他は悪夢そのものでした。
しかし、ドラッグから足を洗ったはずのサラが再び溺れはじめ、ついに彼の元を去ってしまいます。ドラッグの元締めであるジョック(ケヴィン・ベーコン)が誘拐したと思ったフランクはすぐさま彼の元へ行きましたが、ボコボコにされてしまいます。警察に言っても相手にしてもらえず失意のどん底に落ちていた彼は、ある夜、神の手が自分の脳に触れるのを感じます。
TVのヒーロー、ホーリー・アドベンチャーに後押しされた彼は、手作りのコスチュームを作り≪クリムゾン・ボイド≫と名乗り町の悪を撲滅するために立ち上がりました。
薬の売人や列の割り込みをレンチで滅多打ちする彼のやり方はTVでも問題視されますが、フランクは自信をつけたのかジョックの屋敷に潜り込みます。しかし銃で撃たれ、逃げ込んだのはコミック・スマッシャで働いているリビー(エレン・ペイジ)の元でした。クリムゾン・ボイドがフランクだったことに興奮する彼女は、自ら相棒のボルティーとして彼に協力するようになるのでしたが…。
最近、ごく普通の超能力のないヒーローが横行するようになりましたねぇ。少し前に公開された「キック・アス」も主人公は普通の学生でしたが、女の子のヒットガールが殺しの技を叩きこまれていたため、結局は魅せるためのスタイリッシュな作品になっていました。まぁ、少女が楽しそうに殺していたのがいろいろと問題になったようですが…。
この作品では主人公も相棒も本当に普通の人です。しかも主人公はヒーローヲタクですらないという。
スタイリッシュでもなく、格闘シーンでは殴られれば当然血も出ますし、なんということかクリムゾン・ボルトの武器はレンチです。持ったことのある人ならわかりますけど、かなり重くこんなので殴られた日にはもう…それを何度も何度も…それはもう血達磨でしょう。とにかく痛いですが…ある意味リアルでしょう。
こんなリアルな中、主人公は妻サラを救うために悪に立ち向かいますが、彼が悪と向かい合ったのはあくまでもサラのため。自分の怒りのはけ口のようです。普通のヒーローとはかなり違います。また相棒のボルティーに至っては、ヒーローとして悪を退治することに対しては一種の病的ですらあります。自分が正義という典型的な一面を持っており、正直かなり危ない子であるとともに、リアルに存在するかもしれない人物像なのかもしれません。少し前にアメリカで正義のために暴力をふるうヒーローがいましたけどそういうタイプなのかも。
最後の戦いでは、ボルティーにはそういう「一般人のヒーロー化の危険性」に対する啓示も込められていたのかもしれません。
ラストはハッピーエンドなのかどうかは、フランクの気持ち次第だと思いますが、こちらとしてはなんとも言い知れない思いに駆られました。
もっとコメディ系かと思っていたのですが、いろいろと考えさせられる作品でしたねぇ。
あ、ちなみにグロいシーンがいろいろとあります。
【ここがいい!】
・オープニングはアニメで作られていて、いいノリで明るいです。でもいたるところにグロいところがあって、今から始まるテイストを暗示しています。
・手作りスーツながらクリムゾン・ボルトのコスチュームはなかなか格好いい。糸の綻びなんかがいいんですね。よく見ると、なんでもかんでも赤く塗っているだけみたいなんですけど。でもボルティーは…ただのコスプレかな。
・映画の列に割り込むカップル。言って駄目ならレンチ!ここまでしないと、このくらいいいじゃん!とルールを守らない連中には判らないのです。
【ここは問題かな?】
・妄想が…神はやりすぎ?
・最後の戦い…怒り爆発で格好いいけど、ちょっと役じゃないような気がします。
・サラの気持ちがよく判らない。これも薬のなせるわざなのか。
【一言いいたいコーナー】
・奥さん、てっきり相棒になるのかと思ったんですけどねぇ。(^^;
今夜も酔いどれ映画感!(shimanemanさん)の「SUPER スーパー!」
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