1956年(EARTH VS. THE FLYING SAUCERS) 製作国:アメリカ 監督:フレッド・F・シアーズ 製作:サム・カッツマン 製作総指揮:チャールズ・H・シニア 原作:ドナルド・E・キーホー「Flying Saucers From Outer Space」 原案:カート・シオドマク 脚本:ジョージ・ワーシング・イエーツ 特撮:レイ・ハリーハウゼン、ラス・ケリー amazon.co.jpで詳細を見る。 |
カリフォルニア、カンザス、アジアの水田(なぜここだけ水田?)などで見られる未確認飛行物体…やがてそれは形状から空飛ぶ円盤(フライングソーサー)と呼ばれるようになりました。目撃情報の97%は自然現象でしたが残りは解明不明でした。
そんなある日、宇宙線観測所に向かうマービン博士と夫人は、空飛ぶ円盤に遭遇してしまいます。偶然にも録音されていたテープに飛行音もとられていました。
宇宙線観測所では、観測用ロケット11号を打ち上げようとしていたところでした。10号までのロケットは衛星軌道上で観測所にデータを送ってくるはずだったのですが、見失っていたのです。
マービン婦人の父であるハンリー元帥は、パナマの落下物を調査に行っていましたが、それが7号であったことを博士に知らせます。さらにアフリカを始めとして、各地にロケットが落下していることも…いったい何故…マービン博士はそれが事故ではなく何者かが破壊したと言います。
落下した11号に続いて、各種カメラを搭載した12号を打ち上げることにするマービン博士…しかしその時、空飛ぶ円盤が飛来、観測所に降りてきた円盤からは、ロボットのようなものが3体出てきました。
軍がすかさず発砲、1体を倒したところで残りのロボットの腕から発射された光線によって、跡形も無く人間も武器も消えてしまいました。
さらに円盤の入り口付近にはバリアが張られ、なすすべがありませんでした。円盤は12号を破壊し、ハンリー元帥を捕らえて消え去ってしまいました。
一方、マービン博士は、停電の影響で速度の遅くなったテープから、飛行音が実は通信であったことに気付きます。
さっそくワシントンで協議しますが、あやふやな証拠では動くわけにはいかないと突っぱねられてしまいました。ふと気付いた博士はホテルで周波数を音声に変った225.6に合わせて通信、円盤の何者かと交信することに成功しました。
11時にチュサピーク湾岸…その声に導かれ海岸に来た博士、夫人、そして警護の軍人、警察官の4人はそこに着陸している円盤を認めました。
中に招かれた4人は、円盤が異星から来たもので地球に移住したがっていることを告げられます。
知識も捕らえられていたハンリー元帥の記憶から吸い上げていました。彼らは56日後ワイントンで会合を持ちたいと…。
戻ってきた博士たちとワシントンで協議の結果、超音波銃を開発することになり地球の英知を結集して新兵器開発が始まったのです。しかしそのことをスパイカメラで知った円盤は襲撃を開始してきました!
特撮をレイ・ハリーハウゼン、ラス・ケリーが担当し円盤や建物を壊れる様をストップ・モーションで撮影されています。建物が倒れるときの<ぎくしゃくとした動き!もう好きでなければ耐えられません。(^^;
ロボット風のスーツの中から出てきたのはもう老人のような異星人、スーツは防御服とともに眼鏡、補聴器の役目をしていたという調査結果には思わず苦笑してしまいました。もちろん性能は格段にいいわけですが。
ストーリー的には円盤の襲来なのですが、実際にホントに凶悪な異星人であったのかどうかは怪しいです。
ちゃんと通信で行くことを告げていますし、移住に関して武力ではなく地球の流儀に合わせて会合をもとうと言っているのに、結局は地球人の好戦的なところが<全てを台無しにしていたような気がします。
会合に関して無視して<武器開発をしていた博士たちの施設を破壊し、炎上した中に人質を投げ込む異星人たち…このシーンはショックとともに、異星人たちのやるせない心の痛みも感じました。
最後の「この美しい地球は私たちのものだ」という博士のセリフが、他者を決定的に拒否する意志を感じさせますが、そういう考え方が逆に人類を孤立させるのでしょう。
博士は最初は地球と異星の間に立つ役目かと思いましたが、異星人たちと接触、さらに自分の考えた武器の効果によってしまい、周囲に危険(友人が死にます、さらに…)が及ぶことも考えず行動してしまう辺りは、あまりにも人間くさく、マッドサイエンティストの片鱗さえもうかがえました。
【一言いいたいコーナー】
・時代を感じさせてくれるオープンリール、巻き戻しをするときなど手でクリクリと回していました。
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