![]() 製作国:アメリカ 監督:ジョージ・パル 製作:ジョージ・パル 原作:H・G・ウェルズ 脚本:デヴィッド・ダンカン 撮影:ポール・C・ヴォーゲル 音楽:ラッセル・ガルシア amazon.co.jpで詳細を見る。 |

1899年大晦日の南イギリス、若き科学者ジョージは友人4人を招き、タイムマシンが出来たことを説明、そのミニチュアをみんなの前で100年後にタイムジャンプさせて消してみました。ところが嬉しそうな彼とは対象的にみんなは何の感動も現しません。ただ1人フィルビーだけは彼に「ホントだとしても無謀な実験はやめるように」と忠告するのでした。
うなだれたジョージはみんなを帰し、手伝いのワチェット夫人も帰した後、ただ1人研究室に閉じこもりました。
そこにはミニチュアそっくりの…いや、こちらが本物のタイム・マシンが置かれていました。
彼は座席に座ると、レバーをゆっくりと未来への方へと押し倒しました。
周りがぼやけびっくりしたジョージはすぐにマシンを止めました。特に変わったことはなく…と時間が6:31だったのが8:9に!自分の時計ではわずかな時間しか経っていません。
気をよくしたジョージはさらに時間を進め、1917年、1940年と未来へと進みます。フィルビーが戦争で死に、その息子にも出会い、そして彼がいつまでも自分の帰りを待っていたことも知りました。
1966年、イギリスは核攻撃にさらされ地が割れ大地が隆起しました。そのため彼は周囲の岩が取り除かれるまで時間を進めました。そして年代は…。
802701年、到着した場所は不気味なスフィンクスの前でしたが、周囲は今までとは一転して木々は茂り、果物もたわわに実っていました。壊れかけたドームには丸テーブルに2段重ねの座布団…やがてジョージは日光を浴び水遊びをしている人類を発見します。
彼が平和な世界にほっとしていたとき、1人の女性が川に流されました。悲鳴を上げる彼女を助けるものは誰一人としていませんでした。ジョージは飛び出しその女性を助けますが、その間も、いや、その後も彼を気にするものはいませんでした。
彼女の名前はウイーナ(イヴェット・ミミュー)、種族の名前はイーロイと言いました。
どうやら彼女の種族は好奇心というものがまったくなく、ドームで連れて行ってもらった図書館にあった本もその時点で歴史を止めていたようです。彼らは文明というものを放棄した種族だったのです。
あまりのことに悲しみを超えて怒りさえ湧き上がったジョージは、ドームから走り去りタイム・マシンで元の時代に戻ろうとします。
ところがマシンは無く、スフィンクスの分厚い閉ざされた扉の奥へと跡が付いていました。
ついてきていたウイーナに、ここはモーロックという種族が住む場所で、彼女たちは服と食べ物をもらうかわりに命令に従っているのだと言われます。さらにウイーナに喋るリング(歴史の記憶装置)の存在を教えてもらったジョージは、人間の末裔がイーロイとモーロックであり、何かのきっかけでモーロックが支配者となりイーロイが家畜のような関係になったことに気付きます。
ジョージはモーロックたちのいる地下世界へと降りていく決心を固めますが…。


このタイム・マシンは時間を一気に跳躍するのではなく、高速で移動するタイプです。そのために周囲がすごい勢いで進んでいくのですが、研究所の窓から見えるショーウィンドゥのマネキンが時代に合わせてどんどん変わっていくのが面白いです。マネキンが40年以上も変わらないというのもすごいですけど。(^^;
核や溶岩、岩などからも現場にいながら助かったのは別次元にいたからなのでしょうか。
タイムマシンがあればいったい何をするでしょう、よくあるのはやっぱり過去に戻りあの時の失敗を成功させたい、彼女、彼氏との出会いを成功させたい、恐竜に会いたい、信長を助けたい、「バック・トゥ・ザ・フューチャー2」ではスポーツ年鑑を利用して金儲けに使ったり、この作品のリメイク版である「タイムマシン」では死んだ恋人を守るため…。
しかしこの主人公ジョージは過去へ戻ることなどは眼中になく、人類の待つ未来は何なのかという興味あるのみなのです。
明確にはされませんでしたが「過去は変えることが出来ない、しかし未来は変えることができる」の定説だったのかもしれません。
でもこの定説は「未来もさらに未来から見ると過去」であると私は思うのですが…歴史は変わった方が観ている方としては面白いのです。(^^;
もちろんちゃんと変わったことを示すオチがあってのことですが。
この作品では未来での悲惨さを描きつつ、やはり反戦のメッセージが込められていました。
ただその戦争を回避するための努力はなく、あくまでも起きてしまった出来事として描かれています。この作品ではそれを糧として、さらにその先の人類の未来をよくするという、明日への希望がテーマだったのかもしれません。

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さて、オリジナルの「タイムマシン」ですね。昔観ました。これはこれでおもしろかったと記憶しています。主人公が、過去に戻る気一切なし!と割り切った人間(笑)だったのは新鮮でした。白くじらさんご指摘の通り、やはり主眼は“反戦”にあったためでしょうか。久しぶりに観直したくなってきました。
今年もよろしくお願いいたします。
そうですね、タイムマシンというのは過去に戻るのが定番なのですが、これは未来への世界がどうなっているのかということを主においていました。
ホント、新鮮でしたねぇ、古い作品だというのに。(^^;
戦争はいろいろな意味であらゆるものに影を落としていますが、それを糧に生きていこうとするのは辛くもあり、勇気でもありますね。