一度無くした記憶は戻ってこないのか?2012年(ROBOT&FRANK) | 製作国:アメリカ | 監督:ジェイク・シュライアー | 原作: | 製作:ガルト・ニーダーホッファー、サム・ビスビー、ジャッキー・ケルマン・ビスビー、ランス・アコード | 製作総指揮:ダニー・リフキン、ボブ・ケルマン、トム・ヴァレリオ、ビル・ペリー、ジェレミー・ベイラー、アン・ポーター、ステファン・ソネンフェルド | 脚本:クリストファー・D・フォード | 撮影:マシュー・J・ロイド | 音楽:フランシス&ザ・ライツ | amazon.co.jpで詳細を見る。 |
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そう遠くない未来、寒い春のニューヨーク…70歳になるフランク・ウェルド(
フランク・ランジェラ)はただ独りで森の中の一軒家で暮らしていました。彼は若いころ宝石泥棒で6年服役、脱税で10年服役したという過去を持っていましたが、今や物忘れも酷くなっていました。彼は図書館で司書のジェニファー(
スーザン・サランドン)と話すことが好きでしたが、図書館もまた時代の波に逆らえず、新しく責任者となったジェイク(
ジェレミー・ストロング)によって本は電子化され、図書館体験という施設にとって代わろうとしていました。
娘マディソン(
リヴ・タイラー)は父の事が心配ではありましたが、世界中を飛び回りテレビ電話で少し話すことしかできなく、息子のハンター(
ジェームズ・マースデン)は、様子を見に来るものの往復10時間もかかるために、ついにハンターは身の回りの世話をする最新型ロボットVGC-60L(声:
ピーター・サースガード)をフランクの元に置いて帰るのでした。
最初は疎ましく思っていたフランクですが、あるとき自分が万引きできなかったバスタブレットを、ロボットが代わりに盗んでくれたことがきっかけで、ロボットと話し合うことになります。彼はロボットに息子には伝える事が出来なかった技を教え始め、それが彼の生き甲斐にもなりはじめました。
彼らは本がなくなり悲しんでいるジェニファーの為に、リサイクルされない稀覯本(数が極めて少なく珍しい本。限定出版本など)のドン・キホーテを盗み出し、プレゼントをする計画を立てるのですが…。
映画鑑賞の記録のmiriさん発祥、現、
忘却エンドロールの宵乃さん主催の「ブログ DE ロードショー」に参加です。この企画は映画を決めて、その期間中にみんなで観ようというもので、通常は1本決めてから観るのですが、今回は同じテーマということで特別企画です。
企画名は「
第4回真冬のファンタジー企画」です。
SFもファンタジーに含まれていますが、広すぎるので個人的には純粋なサイエンス・フィクションは除外して、不思議要素の入っているSFのみ含もうと思っています。(^^)
企画5回目に観たのは「素敵な相棒 フランクじいさんとロボットヘルパー」。今回の企画内で
miriさんが鑑賞レビューをあげられていたもので、介護やロボットが登場していたので気になってしまい、今回鑑賞することにしました。
介護ロボットモノですが、泥棒という要素も交じっていました。
以前に「ベイマックス」というCGアニメーションを鑑賞したことがあって、予告から介護ロボットの交流を扱った作品だと思っていたら、途中からヒーローモノになってしまって愕然としたことがありました。そもそも原題からして「ビッグ・ヒーロー6」だったので言わずもがなだったわけですが…。(^^;
この作品でも原題は「ROBOT&FRANK」…まだ副題についていただけ良しとしなければならないでしょうかね。
介護する老人フランクは、元泥棒…介護を嫌がっていた彼がロボットを認めたのは、息子にも伝授しなかった彼の技がロボットになら…と教えだしたことがきっかけでした。最初は趣味の一環という事でしたが、本を盗み、次には…と。この時のフランクは独りで生活していた時に比べて、とても活き活きとしており、法に反することとはいえ、ロボットの存在は彼に活を与えたようでした。
そもそも、このロボットには善悪の判断能力が入っておらず、ただ、対象者の管理のみを追及するようになっていたのです。片手落ちのような気もしますが、開発者は犯罪よりも生きることを優先した設計にしたのでしょうか。
周囲がどんどん近代化され、その技術についていけなくなると感じたり、昔見知った建物や人が失われていくという何とも言えないもの悲しさは、人生が長ければ長いほど現実に訪れており、身につまされると思います。まだ若い人にはこういう感覚はほとんどないかもしれませんね。
ただ逆に、自分の存在が忘れられたり、ある時代で止まっていることを知った時のショックは若い人の方が受けると思います。連れ添った片方が受ける悲しみもあります。
作中でも息子ハンターが序盤で受けたショックと、ラストで同じことで受けるショックは、受け答え方がまったく違っており涙が流れそうになります。
自分が物忘れが酷くなって記憶が大切だというのに、ロボットに対しては同じ記憶を消滅させなければならないという苦渋の決断。いったいどうすればいいのか…。
最初思っていた作品とは違いましたが…そしてちょっと辛かったですけど観てよかった作品の1つでした。
miriさん、この作品を選んでくれていて、ありがとうございました。
【ここがいい!】・ブランクがジェニファーとの関係について知った時。
・こういう作品では定番なのですが、徐々にロボットとの交流が始まり、最後には相棒と呼べるまでになっていく過程。
・ロボットが返答前にちょっと考えるところ。(^^;
【泣きポイント(T T)】・1:20:22 家族で食事をするシーン。実際にはその前からですけど。
【ここは問題かな?】・悪いわけではありませんが、ロボットの重量はかなり軽いようですね。両手で軽々抱えていました。ある程度の重さがないと、介護には不向きですし、2足歩行というのにも驚きました。でも、ちゃんと足を曲げて腰を落としてました(バランスを取るには最適の姿勢らしいです)。
・「スイッチを切っても切れない関係」というのが煽り文句でしたが、さすがに切ったら思い出だけですね。この煽りで思い出しましたが、
手塚治虫の漫画(週刊少年マガジン1982年3月31日号)に「ダリとの再会」という短編作品が掲載されており、大怪我をした不良ウルフと医療介助自動システムD・A・R・I号(通称ダリ)との触れ合いが描かれています。疎ましかったロボット介助でしたが最後にはダリ無くしては…退院後、久しぶりに病院に訪れたウルフが見たものは量産されたダリたち。当然次の患者の為に記憶を消去されていたのですが、消えたはずの1台のダリが…。これが切っても切れない!という話だと思います。
【一言いいたいコーナー】・ジェイクのフランクを泥棒だと決めつけて喚き散らすところは本当に嫌でした。ジェイクの方が正しいにしても、とても共感できなかったです…あれ?最初の本はわかっていながらも、この年寄りが!くらいで勘弁していたので、少しは寛大な人かと思っていたのですが。(^^;;
・そう遠くない未来という事で、現代と変わっているところはロボット(人型は最新型のみかな)が当たり前にいるところ。やけに幅の狭い車が走っていたり、音声認識のTV電話が普通に実用化されていたり、携帯などがちょっと変わっていたところでしょうか。まぁ、本が電子化されるところもまさに今でしょうね。エンドロールで実際に活躍を始めている介護ロボットが出たりしていたので、このような世界はまもなくですね。VGC-60Lはオールマイティすぎますけどね。
・トマトの件など考えると、フランク…本当はひょっとして壮大な…。(^^;
忘却エンドロール(宵乃さん)の「
第4回真冬のファンタジー企画」
映画鑑賞の記録(miriさん)の「
☆ 素敵な相棒 〜フランクじいさんとロボットヘルパー〜 ☆」
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