ネジ一本、回すだけでも恐ろしい1974年(JUGGERNAUT) | 製作国:イギリス | 監督:リチャード・レスター | 原作: | 製作:デヴィッド・V・ピッカー | 製作総指揮: | 脚本:リチャード・デコッカー | 撮影:ジェリー・フィッシャー | 音楽: | amazon.co.jpで詳細を見る。 |
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大勢の人々に見送られてロンドンからニューヨークに向かう豪華客船ブリタニック号、その船を持つソブリン海運の専務ボーターの元に電話が入りました。
男の名前は
ジャガーノート、彼はブリタニック号にアマトール爆薬7000ポンド、7つのドラムカン型爆弾を仕掛けたと話し始めます。要求額は50万ポンド、すでに時限装置が働き夜明けには爆発、爆弾は動かそうとしても解体しようとしても爆発すると…そしてこの話が嘘ではない証拠に、デモンストレーションとして小規模な爆発を起こすのでした。
ボーターはすぐさまお金を払うことにしようとしましたが、政府はそれを拒否。
過去の事件からテロリストには屈せずという信念をもって、不敗のチャンピオンの異名を持つファロン少佐(
リチャード・ハリス)率いる爆弾処理班をブリタニック号に向かわせ、警察には過去の記録を調べさせ爆弾に携わった人間の洗い出しを始めるのでした。
おりしも北太西洋航路は暴風雨の圏内に入り、連絡を受けた船長(
オマー・シャリフ)は受け入れのために救命ボートを下ろしますが、隊員の1名が力つき流されてしまいます。
まずはドラムカンに横に小さな穴を開ける作業から始まりました。当然振動感知装置も入っていると考えられるため、船の振動よりは低く、そしてゆっくりと…しかし自動解体装置が動く中、その中に閉じ込められてしまった客とポーターがいたためにドアが開き、慌ててしまった隊員が爆発を起こさせてしまいました。
横手からは無理と考えたファロンは正攻法、正面のネジ止めされている箇所から解体を始めることに…解体手順は、リーダーのファロンが先導して解体を始め、続いて第1助手のチャーリー(
デヴィッド・ヘミングス)が、そして残りの人間が後に続きます。もしファロンが爆死するとあとをチャーリーが引き継ぐことになるのです。手順はロンドンに連絡され控えられて解体作業が開始されるのでしたが…。
miriさん企画の第20回「
ブログ DE ロードショー」での紹介作品です。推薦者は「
web-tonbori堂ブログ」の tonboriさん です。
さすがtonboriさん、渋いところを持ってきますねぇ。(^^)
この作品はパニック映画ですが、人がパニックになるところを描くというよりも、爆弾処理班の緊迫感を前面に押し出している作品で、他の作品とは一線を画しているでしょう。サスペンス映画かな。作業自体は地味といってもいいと思いますが、そこにあるのは製作者と解体者、プロとプロとの静かな戦いなのです。解体者は負けると即、死が待っています。その駆け引きが面白いと思います。
解体処理班は数人いますが、前面に出てくるのは
リチャード・ハリス演じるファロン少佐、そしてその片腕と言うべきチャーリーです。この2人は死の危険をどうやって克服しているのでしょう。お互いの信頼感は非常に高く、傍で仕事をしていても平然としていますが、実際普通の人だと生きた心地がしないでしょう。
それにしても政府がテロには屈しないところも大事ですが、そのために1200人の命を危険にさらすのもどうかと…こういう場面ではネゴシエイターが登場するものですが、当時はそういう存在はいなかったのでしょうかね。かなり荒っぽい対応だったと思います。(^^)
【ここがいい!】・やっぱりなんと言っても解体シーン。最初にネジを回すところから好きです。ネジの部分がアップになるところなんてたまらなくいいですねぇ。それにコードをニッパーでパチンと切るところ…実際に間違っていたらパチンがこの世で聞く最後の音なのかも。この音も素晴らしくいいです。今まで蓄積した知恵を振り絞って罠を回避していくのは緊迫感アリです。
・テロに屈しないと言うだけの政府に対して、ソブリン海運の専務ボーターの人命第一主義。こういう対比があってこそのラスト近くのボーターの叫び。政府のお偉方にも何かドン!と罰を与えて欲しいものです。
・ドラムカン内部から覗き込んでいる
リチャード・ハリスの顔が見える構図がいい。
【ここは問題かな?】・太った船内乗務員スカートの場を盛り上げようとする行動があまりにも多く、以前観たときには鼻についたのですが、今観直すと彼も大変だったんだなぁと思います。でもやっぱりシーンが多すぎかな。(^^;
・とても1200人も人がいたようには思えませんでしたが…。
・なにげに周囲の人間の描写がさっぱりしすぎかも。子供の母親もしかり、あのポーターさんの死に様はかわいそうですが…そのままラストまでスルーしていましたねぇ。
・ラストでもし間違っていた場合…あの状況だと、全員間違ったコードを切って大爆発だったと思うのですが。(^^; やっぱりちゃんと切る前には言わないとね。最後でプロらしからぬ行動だったと思います。
【一言いいたいコーナー】・ラストで衝撃信管があることがわかりましたが、これは線を間違ったらそこで初めて機能するのでしょうか。でなければあれでは少しの揺れでも触れてしまいそうですよね。のわりにはそっと元に戻していたし…判らない。
・今でこそ解体シーンにつきものの「赤」「青」のコード。生と死を分かつシチュエーションですが、最初にコレを描いたのがやはりこの作品だったようです。その後の作品、「リーサル・ウエポン3」「アルマゲドン」(もあった?)「パトレイバーOVA2話目」などでも数多く使われています。
・私が劇場で観たときには、地下鉄のパニック映画の傑作「
サブウェイ・パニック」と2本立てでした。両方ともパニック映画で、しかも両方とも傑作って驚きます。
・以前のレビューは
こちらです。ストーリーはほぼ同じです。
web-tonbori堂ブログ(tonboriさん)の「
今、この作品を観るという事「ジャガーノート」」
映画鑑賞の記録(miriさん)の「
「ブログ DE ロードショー」 次回のお知らせ等 / 今回の作品の感想文」
子育て 時々 映画(マミイさん)の「
選択のプレッシャー」
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