この結論によって私たちは損も得もしないんですよ!![十二人の怒れる男 [DVD]](https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/51xhqCAgFkL._SS500_.jpg) 1957年(12 Angry Men) | 製作国:アメリカ | 監督:シドニー・ルメット | 原案:レジナルド・ローズ | 製作:レジナルド・ローズ、ヘンリー・フォンダ | 製作総指揮: | 脚本:レジナルド・ローズ | 撮影:ボリス・カウフマン | 音楽:ケニヨン・ホプキンス | amazon.co.jpで詳細を見る。 |
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ニューヨーク、3ヵ月前に起った第一級殺人事件は6日間に渡って裁判が続けられました。
被告は18才の少年で、有罪となると電気椅子での処刑が待っていました。評決は12人の陪審員(14人いましたが2人は補欠で帰ります)に委ねられ、彼らは別室での検討に入りました。
彼ら陪審員は郵便で通告された市民たちで、株のブローカー(No.4:
E・G・マーシャル)、宅配便の社長(No.3:
リー・J・コッブ)、はやく終わらせてヤンキース戦に行きたがっているセールスマン(No.7:
ジャック・ウォーデン)、時計屋(No.11:
ジョージ・ヴォスコヴェク)など様々な人間たちがいました。
12人はそれぞれの番号の席に付き、学校のフットボールコーチをしているNo.1の男性(
マーティン・バルサム)を議長に、まず決を取ることにしました。
おそらく誰もが有罪に決定されるであろう結果は、1票の無罪によってこの部屋を議論の場と変えました。
無罪としたのは建築家No.8(
ヘンリー・フォンダ)でした。
彼は言います。
話し合いましょう。評決には12人全員の意思統一が必要でした。
こうして1対11の無謀にも思える議論が始まるのでした。

1957年「
十二人の怒れる男」
1957年「
十二人の怒れる男(再)」
1997年「
12人の怒れる男 評決の行方」


「
映画鑑賞の記録」のmiriさん企画の「同じ日」に「同じ映画」を鑑賞しようという『
ブログ DE ロードショー』第24回目の開催は、皆で選んだ第三回リクエスト企画作品となっております。
選ばれた方は「
サラウンドに嵌った男のブログ」のtake51さんです。
序盤に裁判所が下から上に向かってアップされるのは、裁判とは重々しく威厳があることを示しているのでしょうか。
物語は第一級殺人事件の有罪/無罪を、陪審員が決めるところから始まります。状況などは討論中に明らかにされるため、観ている方は少しずつ状況が判る仕組みになりますが、そのときの情景などは言葉だけで、実際の事件現場のシーンなどは部屋の見取り図はあったものの一切ありません。それなのにある程度の情景が脳裏に浮かぶようになるのは、それだけ集中させられているのでしょうか、討論にひきつけられるのがいいですね。
この作品では陪審員制度、無作為(と言っても代表的な物の考え方をする人たち)の12人による裁判に対する考え方を描いており、結果的には「疑わしきは罰せず」と疑問がある場合は有罪にはできません。確かに疑わしいことがある以上、無罪(ここでいう無罪は有罪に疑問があるということ)になるのは当たり前だと思います。
作中でもそれだからこそ、この制度は素晴らしく、アメリカの(当時の)優位性を示している。との意見もありました。
ただ無作為抽出によって、いつでもNo8のような人物が現れるとは限りません。
今回の事件でも裁判の結果よりも野球を優先したい人や、スラム出身という背景だけで有罪と考えている人、結構メモなどをとって真剣に考えていた人もいたようですが、実際に疑問を持ったのはわずかに1/12人だったのです。いかに人の命を軽く見ているのか恐ろしい話です。
実際の確率はこんな1回だけの抽出では測れないものでしょうけど、もしほかのメンバーであれば有罪になる公算は高かったように思えます。こう考えればこの制度が本当に素晴らしいのかどうかはかなり疑問です。
もっともこれほど事件に関して疑問があり、それが裁判上で議論されていないことの方も恐ろしいですね。これは無能(No.8談)の弁護士にあたってしまった少年の悲劇でもあります。
この作品では、実際のところ少年が殺人を犯したかどうかは結論付けされません。
12人の陪審員は「各人が別々の証言」において「有罪に対して疑問がある」という点において賛同したにすぎません。しかし、それこそが大事で、結論を安易に導き出してしまう体制に警告を鳴らしたのではないかと思います。
それにしても、ラスト、No9のおじいちゃんがNo8に声をかけただけで、あとは終わったら話もなくそのまま帰途につくあたり、本当に無作為抽出でこのためだけに集まっているんだなぁという印象を受けました。
【ここがいい!】・白熱しているシーンはとてもいいです。人物も12人もいるといのにそれぞれ個性が立っていました。
・議論しているとどうしても熱くなる時もありますが、中でもNo3の行動はよかったですね。根底に子供のことがあったようで、ラストシーンは感動しました。それにNo10の怒っている人とは違って、ちゃんと事件を考えているんですよね。ただ根底に怒りのようなものがあると考えも歪んでしまうのでしょう。
・割と席上ではなくトイレや窓際で話しているときに懐柔しているシーンがありましたね。でも、席上では喋れなくても別の場所であれば喋れないことも喋ることがあるものです。そしてそういうときには情が移ることが多いです。(^^)
・人柄としては論理的に考えるNo4、特にお年寄りに優しく、いるとほっとするNo.6、有罪とは思っていても話し合いに共感したNo.9、時計のような性格、自分の意見をしっかり言えるNo11辺りが好きかなぁ。No2の喉飴きらせてます!と言うシーンも好きです。
【ここは問題かな?】・飛出しナイフを購入したNo8ですが、法を守る人間(普段は違いますが、今回は陪審員として選ばれているときでしたから。もちろん普段も買ってはいけないんですけどね。立場という点で)としてこの行為は果たして許されるのでしょうか。しかも、そのナイフを会議室に置いて帰るという…もしもし?
【一言いいたいコーナー】・No8の服がもっとも白いような気がしますが…シロ、クロ何か関係があったかな?
・昨今の無駄に大金をかけた自己満足的作品や作る必要のない続編などに比べると、制作費は約35万ドル、撮影も2週間程度という超低予算。それでありながら演出、脚本でここまでの作品に仕上げていることが凄いですね。
・昔TV版吹き替えを観て以来、気に入っている作品ですが、今回は字幕を付けて吹き替えで鑑賞しました。この作品は吹き替えが2種あるのですが、私が持っているのは1回目の方で、DVDに収録されていたのも1回目です。そのためTV版の尺に入っていなかった部分は英語のままになります。3、4箇所あり、No7、No12辺りですが確かにどうでもいい箇所かも。(^^;
・字幕と吹き替えの言い回しが違う作品はよくありますが、今回のはちょっとひどくって、たとえば老人が歩くところを再現しているとき、周囲から「もっと早く歩けんのか?」と言われたとき、吹き替えでは「老人にはこれ以上無理」字幕では「早くしましょう」…って意味違うじゃん。また全体を通して字幕だとものすごくぶっきらぼうな訳になっていました。

これでは吹き替え観た人と字幕を観た人とでは感想が変わるんじゃないかな?と思いましたが、これは最初に吹き替えで鑑賞した私だけの思いかもしれません。

忘却エンドロール(宵乃さん)の「
一緒に「十二人の怒れる男」を観ませんか(追記)」
夜更けの自販機(|―|/‐\|\/|さん)の「
ブログDEロードショー : 十二人の怒れる男 (1957) -12 ANGRY MEN-」
パパがんばって(^^)/(かえるままさん)の「
ブログdeロードショー「12人の怒れる男」」
子育て 時々 映画(マミイさん)の「
ドッキドキの緊迫感」
映画鑑賞の記録(miriさん)の「
2−1392 十二人の怒れる男」
陽面着陸計画(なるはさん)の「
『十二人の怒れる男』」
サラウンドに嵌った男のブログ(take51さん)の「
「十二人の怒れる男」を見ました!やっぱり渋いです。」
しずくの水瓶(しずくさん)の「
ブログDEロードショーで「12人の怒れる男」を見れてハッピー」
web-tonbori堂ブログ(tonboriさん)の「
Law&juryman「十二人の怒れる男」」
いやいやえん(makiさん)の「
十二人の怒れる男」
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