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江戸時代後半…加賀藩、猪山家は代々御算用者として藩の財政に携わってきました。
8代目となる猪山直之(堺雅人)は、父、信之(中村雅俊)とともに城で算盤(そろばん)をはじいていました。その能力は父をもうならせるほどで、ただひたすら算盤に向かい、数字のチェックを行っており、周囲の者からは『算盤バカ』と呼ばれていました。
そんなある日、直之に縁談が…相手は町同心の西永与三八(西村雅彦)の娘お駒(仲間由紀恵)でした。
ちょうど直之は御蔵米勘定役として不正米の調査をしていたところでした。
婚礼が執り行われようとしていたとき、直之の上司、奉行は公然の不正を暴きかねない直之を修行(いわゆる左遷)に出し、調査報告をもみ消そうとしていました。
しかしその後の取り調べで不正行為はすべて暴かれ、人事は総入れ替えとなるのでした。
直之は、藩主の御次執筆役という異例の出世を果たしましたが、息子が4歳になり着袴の祝いの時に、家計が火の車であり、自分と父の録を合わせても借金を払うことができなくなっている事がわかります。彼は苦肉の策を打ち着袴の祝いを乗り切ります。困惑の家族に売れる家財はすべて処理するように言い、今後は入払帳(家計簿)をつけるようにするのでした。
やがてその入払帳は息子の猪山成之(伊藤祐輝:幼少時は大八木凱斗)が付けるようになり、算盤、そして武士としての心構えを説くのでしたが…。


確かに今の世の中でも、営業が花形であったとしても、事務をこなす人間がいなければ仕事は回らなかったりします。作中でも「戦える人間はいくらでもいる。しかし算盤ができる人間は武士1000人分の価値がある」と言う人がいました。
会計能力に秀でている彼らは、それをお家芸として、刀よりも大事にしているのです。逆に取柄はそれだけしかなく、直之に嫁ぐお駒にも「それでもいいか?」とたずね、お駒が「生きる術の中に、私も加えてください」と言うところはとても印象的でした。
ただ「武士の家計簿」というタイトルになっているにも関わらず、武士という職に関する入払いの内容が妙に薄かったように感じられました。もっとこういうことで金子が必要とか、あってもよかったのではないでしょうか(子供の教育という内容ではありましたけど)。
物語はとても淡々と進みますが、なぜか目が離せない。
時には笑いがあり、感動があり、そして猪山家の生涯が語られるのです。
直之はとても正直に生き(結局のところ、帳尻が合わないのが嫌いなのだ)、損をすることはありますが、最後には認められているのはちょっとご都合主義的とも思えますが、人間、後で子供に自慢ができるように生きることは大事でしょう。
周囲でも親子のけじめ、礼儀作法など、行われているのかと改めて感じさせられました。
私は相手に礼儀がないと、それなりの対応しかしませんけど。(^^;

・いろいろな場面がありますが、印象的なのは着袴の祝いの時にとった絵鯛でしょうか。この時に直之が息子を背負ったシーン、そして父信之が孫を背負ったシーンがラストの親子のシーンにオーバーラップして涙です。
・このほかにも、祭りの時に買った櫛、母がずっととっておいた着物に関わるシーンなどとてもいいです。
・鱈を工夫して食べるところなどもいいですねぇ。
【ここは問題かな?】
・淡々と進む割には結婚までの時間、左遷決定までの時間とか、どういう時間軸だったんだろう。
・長期にわたる人間ドラマなので、どうしても亡くなっていく人がいますが妙に次々と…人によるでしょうけど今はあまりそういうところは観たくなかったので、余計に悲しかったです。っていうか、どこまで続けるんだ!というくらい続きましたけど。
・娘のお熊はいったいどうなったのでしょう。はて?
【一言いいたいコーナー】
・会話における伏線が結構多いです。どの言葉も聞き逃さないようにしましょう。


しずくの水瓶(しずくさん)の「武士の家計簿」
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